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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

煙に巻かれやすい中国拳法の技のお話

投稿日:2017年4月28日

今回は、以前からの予告に沿って“技”に関するお話をしよう。

実は最初、Youtube等の動画サイトに上がっている動画を引き合いに、埋め込み動画を使うか、URLを示して、「何分何秒あたり」というように指定しながら説明していこうと思っていたのだが、元の映像の著作権が絡むかも知れないので、ひとまず、一部をキャプチャした画像を使って説明していくことにした。一応モザイクもかけてある。
権利を有する方がご覧になった場合、もし何か問題があれば、その旨メールをいただければ幸いである。

で、この記事の趣旨として、今回紹介する動画のキャプチャに限らず、複数の人が似たような解説をしていると思うのだが、僕的には、
『それはないだろう、それは嘘だろう、それは使えないだろう』
――等々、かねてから思っていたので、そういったありがちな説明の幾つかを例示することで、みなさんに考えてもらおうということだ。

動画に出ている人を特にターゲットにして批判することが目的ではないが、その中で説明されていることに対しては意見や感想を書かせてもらう。
もちろんそれは僕個人の考えであるから、的を射ているかどうかは、読者が各々判断すればいい。

また、今回紹介する一部分を僕が否定的に扱ったからと言って、その人の武術や流派・団体のすべてを否定するものではない。
肝心なことは見せないのが、この世界の習わしであるのだから。

ただ、初心者を煙に巻くような説明やデモに関しては、改善の余地があると思うので、そういった問題提起も込めて、この記事を書くことにした。
まあ、細かいことは以下、各所にて。

まずは『寸勁』と称する掌打。

画像には丸数字を振ってあるが、このブログは“Shift_JIS”であるため、WEB上では機器によって正常に表示されない可能性がある。よって以下の説明の数字は(1)(2)(3)――のように、カッコ付きの数字とする。

この映像では、(1)の指先を相手の胸部に軽くつけた準備姿勢から、(2)、(3)と前方に体重を移しながら、肘が最初よりも深く折り曲げられて行き、そして(4)、(5)と、腕を伸ばして相手を突き飛ばす動作となっている。
このように、打突時に腕を深く曲げて伸ばす動作をすると、腕の力で押すという部分が強くなってしまうので、「瞬発的な力」とはなりにくいと考えられる。

押しているのは、以下の画像も同様。

ちょっとわかりにくいが、(1)の手前で相手の双按を外側にいなして内側に両手を潜り込ませ(1)-(2)で相手の胸に手を当て、以下、腕を深く曲げた状態から押し飛ばしている。

もちろん「押し飛ばす」のは「安全のため」という面もあると思うが、僕はちゃんと打つべきだと思っている。強弱で加減すればいい話なので。

で、どう打つのかと言うと、僕が習ったものでは以下のようにする。

これは去年の稽古動画の中にあったミット打ちからの抜粋。
僕は左手が少し不自由なため双按はできない。また、左利きだが、左手での掌打はほとんど使えないので、ここでは右手で打っている。
そのため威力は左手の7割程度だ。

それはともかく、フォームを見てもらいたい。
指先からミットまでの距離は10センチくらいかな。少し遠いのだけど、相手を実際に打つときには、まあ大体これくらいだろう。
(2)のインパクトの際、肘は、腕の丸みを維持する程度に伸びている。
そこから(3)までは、腕がほんの少し伸びているだけだ。
体も(1)から(3)まで、それほど前方に移動していないだろう。

もしこれが、(2)の時点で肘が深く曲がっていたら、前者二つの画像のごとく、力で押すような打ち方になってしまう。
そして、(2)のときに肘が深く曲がっていて、そこから腕を伸ばしながら重心を前に持っていくと、前者二つの画像のように、体が前方に崩れたり、後ろ足が大きく伸びて次の動作に移りにくくなったりする。

ちなみに打ち方は、基本的には、手のひら全体で打つ心持ちで「掌心」で打つ。それ以外の打ち方もあるが、ここでは触れない。
胸を打つ場合は大抵、心臓か肺の位置を狙う。
太極拳の双按は、型としては「雁下」を打つことになっているが、実際には打ちにくいし、双按自体が現実的では無いだろう。

まあ、僕の打ち方の方が正しいと主張したいわけではないが、こういう押すような打ち方をやっている動画を見ると、少なくともそこは気になる。
その人が実際に使うときに、本当はどうするのかは別として。

ここからはちょっと、同じ人の動画からの抜粋になるのだが、別にその人をターゲットにしているわけではないので、念のため。

相手の腕を受けたところからパパパンと三連打。

この、三つパパパンと連打してみせるのって、中国武術教室の人が割とよくやっていると思うのだけど、大抵は、短く速くやれる組み合わせを一つ得意にして、それを繰り返しやっている場合がほとんどだと思う。
この人は説明が上手だし速いと思うのだけど、この画像の場合は(2)、(3)と、体が傾いて行っているのが気になる。
それと、タネと言っていいのかどうかはわからないが、(1)でゆっくりと上を打つ動作をして受けを誘い、相手を一時的にその姿勢にさせておいて、そこで急に素早く三連打、というようになっている。
三連打は、胸に肘打ち、次いで金的(代わりに太ももあたりを叩き)、その反動で顔面に肘、といった具合。
(※一つ目の胸に肘打ちは、このキャプチャ画像の中では抜けている)
初めて見た人は、
「速い!」
と、びっくりしてしまう。
しかしまあ、説明だからこんなものだけど、もしこれが、お互い自由に動き合い、狙い合っていて、本気で突いて来られたなら、こんなふうに受けて、至近距離に入って三連打を放つ、というのは難しいだろう。

また、こういうこともやっている。

(1)で相手の突きを受ける。この受けは一応、交差法として指先で相手の目を突くのも兼ねているということなのだが、ともかく次の説明に移行するために、(2)、(3)と、巻き技で相手の腕を取って見せる。
そして(4)のように腕を逆手気味に制してしまえば、相手が(5)以下のように反対側の手で攻撃して来ようとしても、崩されて上手く攻撃できないという説明だ。

この人は中国武術の特徴のように説明しているのだが、これは合気道や柔術でも同様の説明が為されている。もっとも日本武術の場合は、相手をもっと崩すところまで持っていって制するのだが。
違うと言えば、相手に貼り付いて、相手が動こうとするときに合わせて逆手を効かせ、攻撃を不発にさせる、あるいは、相手の動きに乗じて技をかける、という理屈なわけだが、返って難度が上がるのではないかな。実戦では難しいだろう。

同様に、足についての説明もある。

画像では動作がわかりにくいが、(1)で相手の踵の後ろに自分のつま先を入れ、相手の膝の側面に自分の膝頭を当てるようなかたちで位置を制すれば、(2)以下のように相手が反対側の足で蹴ってこようとしても、触れている側の膝関節を圧すことで、蹴りを防いだり、相手を崩したり出来る、という説明だ。

八卦掌の歩法もこのような用法の意味を含んでいる。
しかし、これもやはり現実的では無い。――と、僕は思う。

例えば喧嘩で、至近距離でのにらみ合いに持っていき、“罠”を仕掛けるかたちで使える場合があるかも知れないが、何らかの心得がある者同士で戦う状況になったら、自由に動き回る中では、まず無理だろう。

ただ、この人が説明しているこれらの内容は、やはり僕も、昔は同じように教わったことで、それが「使える」と信じていた時期があったことだ。
もちろん全部がダメというわけでは無いが、少なくともこういった実演には、タネがあったり、穴があったりする。
各々がそういう表層部分とは別に、ちゃんと実戦的なものを隠し持っているかどうかについては、それはわからないが……。

ちなみにこの人の動画については他にも気になる点はあるが、別にこの人のことだけをどうこう言いたいわけではないので、これくらいにしておく。
あくまでもよくあることの一例として、この人の動画がすぐ目についたことと、中でも上手な方の人だから、引き合いに出させてもらった。

“技”に関することは、『第二期修行』の記事の合間に、また気が向いたら書くことにする。

※冒頭で書いている「Shift_JIS」等のことは以前(移転前)のブログでのことです。
(2017/12/04)
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