中国拳法、武術、格闘技など、徒然気ままに…

太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

僕が学んだ太極拳

投稿日:2007年1月7日

僕が入門したのは、故・佐藤金兵衛先生が主催する全日本中国拳法連盟(http://www.jujutsu.com/jujutsu/)の支部道場だった。

ここで教えている太極拳は、戦前、南京の中央国術館で副館長をしていた陳伴嶺という人が中心になって編纂したもので、「陳伴嶺系」「中央国術館系」「双辺」「九十九式」「南京統一型」などと呼ばれているそうで、日本では「正宗太極拳」の名で普及している。
この太極拳は、昭和33年(1958年)に来日した台湾の王樹金老師によって日本に伝えられたという。
(※陳伴嶺の「伴」の文字は本当は三水偏だが、日本で使われていない漢字なので、便宜上この字を当てる)

ちなみに、2ちゃんねるで、「正宗(せいそう)」という名前についての議論があったのを、たまたま後になってから見たが、「何故、日本で「正宗」と呼ぶようになったのかは、僕も知らない。
僕が習い始めた頃は、単に「太極拳」としか呼んでいなかったし、元は何派の太極拳なのかと先生に訊ねると、
「楊家の流れで、陳伴嶺という人の太極拳だ」
と、説明してもらったように記憶している。
「正宗太極拳」という呼称を知ったのはずいぶん後になってからだ。
改めて金兵衛先生の『太極拳入門』を見てみると、「楊家派の太極拳」と書いてあったり「正宗太極拳」と書いてあったりする。
今手元にあるのは、昭和62年に重版発行されたものだけど、当初からこうだったのかなぁ…?

さらについでに。
最近になって、陳伴嶺と王樹金の関係について、師弟であったとか無かったとか、一部で取り沙汰されているのを知った。
この辺のこともよく判らない。
陳伴嶺については、略歴がウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/)にあるので、興味ある人は参考にするといい。
(但し、ウィキペディアの情報は、必ずしも正確とは限らない点は留意してもらいたい。もちろんこれは、ウィキペディアに限らず、ネット上の情報にも限らないけれど…)
また、金兵衛先生のところに長年いらっしゃった地曳秀峰さんが、独立して全日本柔拳連名(http://www.taikyokuken.co.jp/)を主催しておられる。
この方が、著書『太極拳・全』という本の中で陳伴嶺と王樹金の関係について触れていて、正宗太極拳の編纂に王樹金も関わったというようなことが書かれてあるのだが、これもよく判らない。
僕はてっきり、陳伴嶺が中心になって編纂した太極拳で、王樹金は陳伴嶺の弟子なのだと思っていた。
ともかくこの太極拳は、日本では王樹金の太極拳という認識が強いが、中国や、伝承のある他の国では“陳伴嶺スタイル”というように呼ばれているらしい。
もし陳伴嶺と王樹金の間柄が師弟関係で無いとして、王樹金がこの太極拳の編纂に関わったのなら、王樹金系の伝承も元々のものだろうけど、後に陳伴嶺との友好関係で交換教授のようなかたちで教わったのなら、必ずしも元のままでは無い可能性もある。
ただ、僕は研究者では無いし、これらは見聞きしたことや思っていることを列挙しているに過ぎないことを付け加えておく。
蛇足ながら、金兵衛先生は王樹金老師に8年学んだそうだ。
その後、部分的に型を変えたところがあるらしく、陳伴嶺の著書『太極拳教材』を見ると少し違うし、また現在、地曳さんのところで行っているものとも若干違う。

…で。

そんなことは入門当初は知らないし、それまで松田さんどっぷりだった僕にとって、武術としての太極拳といえば“陳家”で、楊家やその他の太極拳は使えないものだと思っていた。
ともかく中国拳法のことが知りたくて知りたくて仕方がなかった僕は、すでに金兵衛先生の『太極拳入門』も買って持っていたのだけど、演武写真がしっくりこなくて、解説文に目を通したあとは、あまり開くこともなく本棚に収めたままだった。

まさかそれを習うようになるとは…。

最初に見たときは、正直言ってちょっと違和感があった。
それまでイメージしていた太極拳よりは、何となく日本的な印象を受けて、あまり太極拳らしく見えなかった。
しかしその一方、空手とは違った厳かさがあったし、正中線をしっかりと守り、三角形を作って構えるところはいかにも武術的で、すっかり気に入ってハマッてしまった。
「陳家じゃなくても、ちゃんと武術として伝えられている太極拳があるんだ!」
…と、嬉しくなった。
半年ほど先に入っていた2歳年下の兄弟子のところに、同時期に入った2~3人で週末に教わりに行ったり、家では金兵衛先生の本とにらめっこをして憶えたりした。
この太極拳は九十九勢(99動作)あって、普通の人は憶えるのに3ヶ月以上、大抵は半年くらいかかるし、週1回の練習だと1年以上かかる人も居る。
僕らは2ヶ月ちょっとで憶えた。

習い始めの頃は、空手のときと違って、
「力を抜いて」
と、よく注意されたのを思い出す。
また、この太極拳の感想として、初めに習う用法解説は、現実的にその通りに使えないものもあるにせよ、
「よく出来ているなぁ!」
と感心させられることしきりだった。
少なくとも松田さんの本の写真よりは納得できたし、幾つもの用法があって、少しそれらが判ってくると、型の用法を考える楽しさも覚えた。
もっと後になると、隠された用法なども教えてもらって、
「そんな意味もあったのか!」
と驚いて、用法を想像するときの考え方自体ガラッと変わってしまうほど目から鱗ものだったこともあった。
「この太極拳はよく出来ている。この太極拳はすごい!」
そう思った感想は、今でも変わっていない。
もちろん他の太極拳を知らないから(習っていないから)、この太極拳が他派の太極拳と比べても優れているのかどうかは、一概には言えない。
ただ、型の上で同系の技の動きを、どちらの方が武術的かつ効率的かという点で比べることは、ある程度できると思う。
手前味噌な意見で申し訳ないが、そういう部分で言っても、やはり洗練されていると思っている。

…しかし。
これは太極拳全体のことでもあるのだが、いいことばかりというわけではない。
また、当時感じた疑問も多々ある。

この項は僕が学んだ太極拳の紹介なので、ひとまずここで。。

 

以下、コメント

旧ブログからの移転にあたり、掲載当時のコメントはこの下に“引用”のかたちで付けておきます。管理人からのレスは囲みの色を分けてわかりやすくしておきます。
なお、現在はコメント機能は使用しておりません。ご意見、ご感想等はメールにてお願い致します。

 

hideさん、はじめまして。陳竹林師傳です。
ランキングを見てお邪魔しましたが、南京統一型ということは私が最初に習ったものと同じです。今は王西安大師系列の陳式太極拳をやっていますが、源流はやはり王樹金老師の流れを汲む太極拳です。
習っていたのは随分昔のことなのですが、今になって南京統一型を思い出しながら記録に残したいと思ってます。
また来ますね。

Posted by 陳竹林師傳 at 2007年02月09日 04:55

陳竹林師傳さん、はじめまして。
コメントをありがとうございます。

陳竹林師傳さんも同じ系列の太極拳をやってらっしゃったんですね。

> 習っていたのは随分昔のことなのですが、今になって南京統一型を思い出しながら記録に残したいと思ってます。

メインとしてやらなくなってしまったものなら、今さら記録に残しても仕方がない気もしますが…。
手に入りやすい参考書としては地曳さんの本くらいでしょうか。。
陳伴嶺の『太極拳教材』は絶版になっているでしょうしね(?)。
最近、河野さんの本が出たようですが、僕はまだ見ていません。

またよかったらいつでも来て下さい。

Posted by hide at 2007年02月10日 05:11

hideさん、ブログにご訪問ありがとうございました。
王樹金老師のフルフルもどき99勢ビデオって確かに珍しいですよね。14勢が分かればあとは組み合わせだし。
やー、こうやってネットで検索すれば色々な武術動画が観られる世の中になりましたねー。

hide> メインとしてやらなくなってしまったものなら、今さら記録に残しても仕方がない気もしますが…。

やっぱそうですかねぇ。
でも今習ってる王西安拳法もちゃんと記録に残しますから。

また来ます。

Posted by 陳竹林師傳 at 2007年02月18日 15:29

フルフルもどき…って、表現の意味がイマイチわかりません。(^_^;)
動画をまた改めて見てみます。
一応、金兵衛先生のところで出しているビデオは持っているんですが、その中では王樹金老師の映像は部分的なものでしたので、十四勢が入っているのは驚きました。
昔は本の写真でしかわかりませんでしたから、ネット上で色々な動画を観られるのは本当に便利になりましたね。

> やっぱそうですかねぇ。
> でも今習ってる王西安拳法もちゃんと記録に残しますから。

残すのはご自由に。
僕も、今までに習ったものの中には忘れてしまった型などあって、
「記録に残しておけば良かった」
と思うものもありますよ。
ただ、体に残るのはほんの一部の得意な動きだけのような気がしますので、やらなくなってしまったものなら、改めてそれを誰かに習うのでもなければ、思い出して記録しておくのはあまり意味を感じないのです。
しかしそれはあくまでも僕の場合であり、個人的な意見に過ぎません。
陳竹林師傳さんにはご自分なりの意味があるでしょうし、それをとやかく言うつもりはありません。

Posted by hide at 2007年02月19日 00:46

hideさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

王樹金老師がデブだって言ったのは、、、冗談ですから・・・。
や、デブだったのは冗談じゃないです。
動画で見てもその通りですし、実際にお会いしたこともありますから。

記録に残すことは・・・大目に見てくださいな。
趣味みたいなもんですから。

また来ますね。

Posted by 陳竹林師傳 at 2007年02月19日 02:28

最近、河野さんの本が出たようですが、僕はまだ見ていません。

王樹金業界内の噂では、河野氏は王樹金老師に習ったとは言っても、とても短い期間で、しかもあまり練習していなかったという話ですぜ。

南京統一型の系図を見ても、河野氏の名前なんか出てきませんし。

それだったら、たった1回でも実際に王樹金老師に会って教わったことのある陳竹林師傳が本を書いてもいいじゃないかっつー話になっちゃいますよね?

おっと。ここだけの話にしておいてくださいね。

Posted by 陳竹林師傳 at 2007年02月19日 02:33

陳竹林師傳さん、こんにちは。コメントをありがとうございます。

> 王樹金老師がデブだって言ったのは、、、冗談ですから・・・。

意図は解っていますよ(笑)
まー実際に太っていたのも事実ですが。。(^_^;)

> 記録に残すことは・・・大目に見てくださいな。

他人の行動を縛るつもりで書いた意見ではありませんので気にしないで下さい(笑)

ところで、2つ目のコメントは(裏話)承認しない方が良かったですか?
その場合は削除しますので、すみませんが再度ご連絡下さい。

一応、感想を書きますが、まぁ、ありがちな話ですね。
僕はその辺の事情を知りませんので何とも言えませんが…。

Posted by hide at 2007年02月19日 03:01

> ところで、2つ目のコメントは(裏話)承認しない方が良かったですか?

否、別にいいと思いまよ。
そう言われてみて多少焦って、王樹金 + K氏の姓(今更イニシャルトークにしてもねぇ・・・)でググりました。もちろん繁体中国語、簡体中国語のサイトを中心に。
何一つ情報出てこないですよ。
ま、ネットで検索した結果が全てじゃありませんけど。

http://www.nifty.com/budo-ra/service/ouj701.html

ここ↑に出てくるK氏の掌を見ればねぇ。
とても武術家の手のひらじゃないですよねぇ、ペラッペラで。
私の知る限り達人と呼ばれる人々の手の平は、「気」が溜まってパンパンに張ってますもん。

や、これまたココだけの話ですぜ、えぇ、hideさん。。。

Posted by 陳竹林師傳 at 2007年02月19日 04:58

こんにちは。
ここだけの話の件、了解しました(笑)

まー、河野さんの評価は色々あるみたいですね。
僕はご本人の噂をネット以外ではまったく知りませんけど…。

> とても武術家の手のひらじゃないですよねぇ、ペラッペラで。

お恥ずかしながら、僕もあまりごつい方ではないです。。(^^;ゞ
まぁ、昔、拾ってきた瓦を素手で割って遊んでいたせいか、拳は幾らか平らになっていますが…。
それに、ちょっとブランクがあったんですが、手というものも案外戻って柔になってしまうものみたいですね。

> 私の知る限り達人と呼ばれる人々の手の平は、「気」が溜まってパンパンに張ってますもん。

“気”でそうなるのかどうかはわかりませんが、多少は鍛えていないと拳にしろ掌にしろ耐性として弱いのは確かだと思います。
内家拳と言っても、実際に強そうな人は腕もしっかりしているし、手も肉厚だったりしますよね。

Posted by hide at 2007年02月19日 05:39

> “気”でそうなるのかどうかはわかりませんが、

や、hideさん、"気"なんですよ。
今の陳式太極拳の先生は気功もやられるんですけど、よく両手のひらをうえに向けて、そこから呼吸してます。
自分の手のひらを翳すと感じるんです。
これ冗談みたいですけど、本当に手のひらから空気が出るんですよぉ。

嘘じゃないんですぅ。

・・・・・・。

本当なんだってばぁ。

・・・・・・。

ホンマですねん。

・・・・・・。

嘘、ちゃうねんてぇ。

私は王西安大師を筆頭に、名家と呼ばれる方々の手のひらを見てきました「手のひら研究家」でもありますw
名家の掌は気でパンパンに張ってます。

Posted by 陳竹林師傳 at 2007年02月19日 14:38

人の話を聞いただけでそのままそうだと判断することはできません。
逆に疑わしく思っているわけでもありません。
「わからない」とは「判断できない」という意味です。

Posted by hide at 2007年02月19日 15:01

>私の知る限り達人と呼ばれる人々の手の平は、「気」が溜まってパンパンに張ってますもん。
王樹金老師の手はフンワリとしてとてもパンパンに張ってませんでした。

Posted by 通りすがり at 2007年11月08日 00:50

そうですか…。
僕にはわかりません。

Posted by hide at 2007年11月09日 00:29

はじめまして。kankobenともうします。実は僕も同じ系統の太極拳を学生のときに台湾の留学生の方から習っていました。
確かその方は王福来という人から習い、その後、実力が認められて王福来さんの先生である王樹金さんから習ったみたいです。僕も教えてもらった方から聞いたのですが、確かに王樹金さんの手はふわふわしていて赤ちゃんの手みたいだったそうです。他の太極拳を知らないのでなんともいえませんが、なんとなく形意拳の影響もあってか、動きがはっきりしていて僕は好きです。また立ち寄らせていただきます。

Posted by kankoben at 2011年02月04日 17:01

>kankobenさん

初めまして。コメントをありがとうございます。

承認が遅れてしまってすみません。

王樹金は、僕が習い始めた頃は日本ではまったく無名な印象でした。
松田隆智さんが火付け役となって中国拳法がブームになり、雑誌『武術(うーしゅう)』を始め武術専門誌が幾つか出版されましたが、それらの中でも(僕の記憶の限り)名前が出てきたことはほとんど無く、当時は、もっと名のある老師が伝えている拳法を習った方がいいんじゃないかと思っていたものでした。
ま、それはともかく。
王福来氏を経て王樹金に習った人に、日本でまた習うというのは、なかなか奇遇なものですね。
大阪には、王福来の弟弟子だったという人が教室を持ってらっしゃるようですが、その人とは違いますよね?

> 確かに王樹金さんの手はふわふわしていて赤ちゃんの手みたいだったそうです。

王樹金が伝えた派では特に手を鍛えるようなことはしないと思いますので、柔らかい手をしていることは不思議なことではないでしょう。
他の人のコメントのように『“気”で膨らんでいる』云々は、僕にはわかりません。
また、“気”で膨らんでいると思う人は、少なくとも、何故それが“気”によるものだと言えるのかを説明しないのは舌足らずです。
“気”に関することは僕もある程度のことは解っているつもりですが、きちんと説明しない意見には肯定も否定もできませんし、また、会ったことも無い人のことを人づての話でどうだったと聞かされても、やはり「わからない」と答えるしかありません。

> 他の太極拳を知らないのでなんともいえませんが、なんとなく形意拳の影響も
> あってか、動きがはっきりしていて僕は好きです。

そうですね。
ただ、楊家派以降の太極拳が縦拳だったりするのは、楊家派自体が形意拳の影響を受けたのかも知れません。
まぁ、陳伴嶺・王樹金系ほどくっきりと取り入れられてはいなかったにしても…。
ちなみにネット上で、『陳伴嶺系は八卦掌の色が濃く王樹金系は形意拳の色が濃い』というような話を見かけたこともありますが、これについてはよくわかりません。
少なくとも僕が習ったものについては、バランス良く入っていると思っています。

> また立ち寄らせていただきます。

ありがとうございます。
長い間放ったらかしにしていましたが、ちょうど再開しようとしていたところでした。
近々また記事をアップします。

Posted by hide at 2011年02月06日 22:02

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