中国拳法、武術、格闘技など、徒然気ままに…

太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

拳の握り方

投稿日:2012年3月22日

アクセス解析の検索ワード(GoogleYahoo!でどんな言葉を入力してこのブログにやって来たか)で、ちょっと前、
「拳の握り方」
というワードが、やたら目についた。
以前から例えば「カンフーレディ」「崩拳」「站椿」などは、コンスタントに多かったのだが、これについては集中的だったので、もしかしたらリクエストかな?、とも思ってしまった(笑)
まー偶然とは思うけれど、せっかくなのでちょっと書いてみよう。
(※もし記事で扱って欲しいテーマや質問その他があれば、メールをもらえればなるべく前向きに対応します)

では本題。

“拳の握り方”と言えば、初歩の初歩と思うかも知れないが、実はそうとも言えない。
ひとまず初心段階のことから書こう。

まず図-1「空手の正拳」を見てもらいたい。
<<図-1>>

正拳を正面から見た図。
赤マルで囲んだところは、一般に“拳頭”と呼ばれる部位だ。
説明するまでも無いと思うが、正拳突きにおいては、人差し指と中指の付け根(第一関節)の突起部を使って当てる。
何故「空手の正拳」としたのかというと、中国拳法では派によって違うようだからだ。
僕が学んだ流派では、当てる拳頭の部位は、基本的に空手と同じなのだが、中国拳法の入門書やネット上の解説にある写真、また、動画サイトでの映像などを見ても、特に最近は、薬指・小指の側で突いているものが多く見受けられる(※ほとんどの場合は縦拳において。中指も含めた3本の突起を使っている派もあるようだ)。

何故、正拳において人差し指・中指の側を使うのかというと、手の構造上、例えば物を掴むときや握るときに、主導的な役割をするのは親指、人差し指、中指の3本であり、薬指、小指は補助であるからだ。
つまり、前者3本の方が後者2本に比べて、太く、力が強く、構造的にも強度的にもしっかりと安定した固い握りができるのだ。
故に拳頭も、人差し指・中指の突起部の方が固く、鍛えるのにも適している。
また空手の場合、基本的には親指以外の四指を丁寧に折り畳んで、人差し指と中指を固定するように親指でしっかりと押さえ、全体的に固く握る、というように教えると思う。
指導者によって、小指側の締めを重視する人も居れば、しない人も居るようだ。

ついでに柔術の握り方にも触れておこう。
割と広まっている握り方に、図-2「柔術の握り方例」のようなものがある。
<<図-2>>

曲げた親指の上に、折り畳んだ人差し指と中指を乗せ、親指の先を薬指と小指でくるんで固定したかたちだ。
しかしながら、これは嘘だと思う。
この握りを初めて知ったのは、小学生か中学生の頃に何かの本でだったと思うが、さすがに子供心にも疑問に思った。
何故なら咄嗟に握りにくいし、こんな握りで突いたら親指を痛めてしまいそうだからだ。
同様におかしいと思った握りに、親指を四指の内側に深く入れた握りがある。
図-2の握りから、人差し指と中指も親指の上に被せてくるんだかたちになる。
これなら咄嗟にでも握れるが、拳頭での打突よりも人差し指と中指の第二関節での打突を目的としている感じだし、やはり親指を痛めてしまいそうだ。
但し親指の先だけを内にくるむのなら解らなくもない。
柔術で標的にされやすい親指を保護しつつ拳頭での打突も可能だろうから。

また、図-2の握りについては後年、島津兼治さんの柳生心眼流の本(『甲胄拳法柳生心眼流』日東書院・刊)にも書かれてあって、ちょっと驚いた。
(ちなみに島津さんの心眼流の本、紀伊国屋書店のデータベースで見たら1979年発刊とあったけど、そんなに古かったっけ? 僕が見たのはもっと後で、たぶん1980年代後半だったと思うけどなぁ…)
で、T先生のところに入門して、柔術を習うようになってから、この握りについて質問した覚えがあるのだが、僕の記憶では確か、
「うーん。あれはなぁ…あの握りは無いと思うけどなぁ。少なくとも僕はああいう握りは教えてもらってへんからなぁ」
というような答えだったと思う。
先生も20代前半の頃だし、あまりご存知なかっただろうとは思うが。。
T先生と再会後にも話題に出したことがあったが、そのときには「あれは嘘だろう」とおっしゃっていた。
また、僕が心眼流で最初に習った握りは、手の内に余裕を持たせて軽く握る握り方だった。
しかしそれよりも心眼流には、初心者には教えないが“○○の拳”という握りがあって(一応、秘伝の部類になるのかな…)、それが正式な拳の握り方ということになるのだと思う。
さらについでに、図-2のような握り方は、ある先生に言わせれば、
「あんな握りではまともに打突ができないから(初心者に)教えるんです」
とのことだ。
つまり、幾ら思い切り突かせたところで危なくないから、という意味のようだ。

本筋に戻ろう。。

図-3「拳頭の当て方について」を見てもらいたい。
<<図-3>>

a図は特に意識せず真っ直ぐに出した状態。素人の人が普通に出した状態だ。
b図は空手や、同じくこの拳頭を使う拳法での出し方。<当流はこれ。
c図は薬指・小指側で当てる場合の出し方だ。
b、c図で、ちょっと赤線の引き方が悪い気もするが、要は、腕の骨から打突に使う部位までを真っ直ぐにすることが肝要だ。
例えばb図では、腕から拳頭までが真っ直ぐになるように、この図で言えば手首から先がやや右に傾いている。c図はその逆だ。
また、図にし忘れたが、上向きに反ってはいけない。
例えば右手の正拳で言えば、手首より先が上向きに反っていると、拳頭よりも第二関節で突いてしまうし、手首が安定せず、突いた際の衝撃で指や手首を痛めてしまう。
つまり上腕の外側(「気をつけ」の姿勢での外側)は、腕から拳頭までが平らになるようにしておかなければならない。
これらは形意拳のような“縦拳”の場合でも同じだ。
形意拳の場合も、肘から先は、上記のような要領のまま縦拳になるわけだ。
ただ、縦拳の場合、c図のように薬指・小指側で当てる出し方をよく見かけるのだけれども(他派の太極拳や形意拳など)、僕は疑問に思っている。
そういう場合の当て方は、大抵、いわゆる「卵を握っているように」というふわりとした握り方からインパクトの瞬間に小指側を強く押し当てる感じだと思うが、移動距離の長い拳撃(ストレートパンチとか)には向いていないと思えるからだ。

それぞれについて、もう少し説明を足そう。
まずa図のように素人が出す出し方の場合(この図では一見安定してそうに見えてしまうのだが…)、大抵は、手首が安定しておらず、握りも甘くて、指や手首を痛めてしまいやすい。
そこでb図のような正拳式だ。
先述のように、親指、人差し指、中指の側を主とすることで固い握りを実現している。
また、しっかり握ることで手首も安定する。
しかし欠点もある。
まず基本通りにしっかり折り畳んだ握り方は、実際には素早く握りにくいため、実戦ではそれよりやや甘い握りになってしまうだろう。
そういうときに手首が甘くなって、痛めてしまうことがある。
また、初心者は、しっかりした握りをすることで指や手首を痛めにくいわけだが、反面、力みやすくなる。
なので、上級の握りは、固く握れて、力まず腕を速く振れる握り方となっている。
さっき触れた心眼流の握りもそうだ。
そして、c図のような薬指・小指側による当て方(空手や少林拳のような横拳ではあまり見ないと思うが)は、手首から先を傾ける正拳よりも腕から拳(この場合、薬指・小指側の)までを真っ直ぐにしやすい。
中国式に言えば「勁が通りやすい」ということになるのだろう。
しかし僕は(あくまでも個人的にだが)、これも嘘じゃないかと思っている。
薬指・小指側は、今回述べた理屈から言えば、手の構造上、他の三指側に比べれば脆いし、固い物に当たった場合には痛めてしまう可能性が大きい。
また、力が通りやすいのかどうかも疑問だ。<これについては詳しく書かないが…。

で、ウチではどんな握り方をするのかについて書こう。
但し上級の握りについては書けないので、あくまでも基本の範囲で。

当てる部位が正拳と同じであることはすでに書いた。
但し空手のように丁寧に折り畳んだ握り方ではなく、手の内に余裕を持たせて、その上で、拳頭側をしっかり握る。
小指側の締めは重視しない。
ただ、軽く握るのも使い分ける。
ミット打ちなどをする場合は、軽い握りのまま当てた方がしっくり来る。
もちろん手首がぶれないように腕から拳頭までを真っ直ぐにするというのは前述の通りだ。
つまり、しっかりと握ってはいないが、拳頭が正しく当たり、インパクトの瞬間には自然と力が入る、といった感じだ。
ちなみに僕自身、喧嘩の経験で言えば、拳を意識してしっかり握ったことは、たぶん一度も無い。
大抵軽い握りのまま当てていたように記憶している。
まー、まだあまり知らなかった若い頃の話だけれど。。
その後に習った握り方や打ち方で人を殴ったことは無いので、それについては何とも言えない。
後で習ったやり方の方が効くことは確かだと思うが、実戦で使えるかどうかは、やはりそういう経験をしてみないとわからない。
そしてさすがに年齢も上がって、怖さもあるし(色んな意味で)、そういう機会はもう無いかも知れない。
当然、無い方がいいとも思っているし(笑)

で、僕を信じて、ウチのやり方をやってみるなら、簡単な訓練法をお教えしよう。
但しこれは、習ったのではなくて、自身の工夫によるものだ。
それは、“拳立て伏せ”だ。
と言っても、一応のコツがある。
軽い握りのまま、拳頭を床に付けて、両腕の幅は広めに取る。
腕の力に自信がない人は、足はつま先ではなく膝をついてやればいい。
また、腕の曲げ伸ばしも最初は浅めでいい。
両腕を広く取るのは、上腕二頭筋(いわゆる力こぶの部位)ではなく、負荷を肩や胸や背中に効かせるためだ。
ご存知の人も多いと思うが、上腕二頭筋は、拳法にはあまり必要ないと言われている。
…が、非力でいいわけではない。
なので、肩や背中や胸を意識しつつ、ついでに腕も鍛えようという心持ちで。
(但しこの場合、上腕三頭筋(上腕二頭筋の裏側)により効くはずだ)
だが主役は、拳であり、手首だ。
手首が弱い人が、拳をしっかり握らないままで、腕から拳頭までを真っ直ぐに出来ていないと、自重だけでもくいっと手首を捻ってしまいそうになる。
なので、そうならないよう、拳立て伏せをしている間、拳頭と手首をキープして、肩から拳頭までの力の伝わりやバランスを意識して、やってみて欲しい。
床につけている拳頭も、まったく鍛えたことが無い人は、体重が軽い人はともかく適正体重以上なら最初はきつく感じるだろう。
やってみて、拳にせよ手首にせよ腕にせよ、きついと感じる人は、とりあえず膝をついた状態での深い曲げ伸ばしを、ひとまず20~30回できることを目標に頑張ってもらいたい。
それくらいが普通に出来れば、素手でミット打ちをしても拳や手首を痛めることは無いと思う。

…しかしまー。。
拳の握り方だけでこんなにも長文になってしまった。。
けれど書かなかったこともまだある。
それはおいそれとは書けないが、知ってみれば「なぁ~んだ」かも知れないものの、素人に教えてもそれだけで威力が増すような握り方と言える。
だからと言って、今回書いたようなことだけでも、ちゃんとできるようになれば充分だと思う。

 

以下、コメント

旧ブログからの移転にあたり、掲載当時のコメントはこの下に“引用”のかたちで付けておきます。管理人からのレスは囲みの色を分けてわかりやすくしておきます。
なお、現在はコメント機能は使用しておりません。ご意見、ご感想等はメールにてお願い致します。

hideさん、こんにちは。
2009年の記述から発掘してみました。
まぁ、こんな考え方もある、というウチの流儀の話です。

師伝の形意拳では、拳は「螺子拳」と言って、
拳の内部に隙間を開けた軽い半握り状態にし、
拳面をそろえず螺子(らし=ネジ)のように
各指がずれた形状で打ち出し、
相手に当たって変形し始めたらそれに合わせて握る…
というか整えるのです。
整えた最終結果が他派の正拳の様になる場合もありますが、
基本的には螺旋状にねじれた拳です。

ネジ形状である主な理由は

①円錐圏の中心意識を高める。
※円錐圏とは拳尖を頂点とする大きな円錐の内に身を置き(蔵身)
いずれの円錐面(辺)でも相手の技撃を反らし得る意識と実体。
形意拳の片腕単体の実際の突きが中国槍そのものだとすると、
円錐圏は巨大な、傘の大きく開いた、西洋槍のごとき…要するに、
巨大な円錐状の物体そのままに相手を土突くイメージ。
例えば、我が門の火行砲拳は「鑚出→上段受けに変化」ではなく
「鑚出→上段受けと同時に拳尖も前腕も全て前方への打突に変化」
なので、引き手をとらず、円錐面の一部と化します。
もちろん、後発の砲拳の螺子拳が円錐の中心を取ります。
例えば、水行鑚拳は構造上、軌道も、用法も、発勁も全て、
正に円錐圏を体現する代表的な技であると言えるでしょう。

②螺旋交叉により拳を相手の裏門(腕の制空圏の内側)に進入させる。
※太極拳纏絲勁と八卦掌螺旋勁の両方を兼ね備える螺子勁による。

③怪我防止のため。
※後述します。

④柔らかい部位への技撃においては先端の応力集中を利用する。
※他武術における中高一本拳のごとき効果を得るもの。
急所への加撃にも用います。

始め半握り、打突後に握る、あるいは形状を整える主な理由としては

⑤スピードを殺さないため。
※拳を途中で握り締めると、拳速にブレーキがかかります。
また最初から握りっぱなしで打つのは、
我々の様な、無駄なリキミを排除して鍛錬する流儀では、
やはり拳速は落ちます。
一部の空手の様に終始握っての速度維持には、
ソレ相応の訓練が必要です。

⑥威力を得るため。
※力積=F(力)×⊿t(微小接触時間)
の⊿tは、硬い拳尖で硬い面に当てた場合、最も失いやすく、
また瞬間的に弾けた拳では体内への威力は浸透しません。
壁にボールを投げて跳ね返ってくる様にするのではなく、
ボールと同質量の粘土球を投げて壁に張り付かせるが如く、です。

また、既出の③怪我防止と合わせて威力について語るならば、
我々の威力の出し方の特性(=胴体の前進慣性を拳に伝えるのが主体)
から、次のことが言えます。

マキワラやミット打ちなどでは、
他派のいわゆる「正拳」をしっかり握る、
のは問題ないでしょうが、 実際の実戦の人体は、
正拳がきれいに当たってくれる角度を晒していることはむしろ少なく、
打突時に、相手は斜め半身であったり、
打突部位が曲面である場合が多いので、
拳面が螺旋状にずれたものを捻りながら突くことで、
最適な打突面を捉え、
身体にほんの少しめり込んで潰れながら変形して、
最も威力の伝わる状態に落ち着かせる、という考え方です。
従って「正拳」という言葉がそもそもありません。
間合いによっては打突終了時に縦拳になることも横拳になることも、
斜め拳?になることもありえます。
正拳では打突時の接触面の状況次第では威力がのせ切れなかったり、
小指側を怪我してしまう可能性もある、という考えに基づくのです。

これに従い、拳を鍛えることについても、
拳を握り締める流儀とは真逆の練功法を用います。
例えば、
拳立て伏せ=鉄牛耕地ですが、
硬い床に握りしめた正拳を立てるのではなく、
地面を掘ったり、マットの上などに螺子拳をめり込ませて行います。
また指立て伏せでは、
他派の様に指を伸ばし反らせて東京タワーの如く支えるのではなく、
指を丸めてドーム状にして支えるようにします。
初心者は指の力が足りないので、鉤手の尖端をつぶして団子状にし
第一関節爪側を床に付けて支えて行います。
これも関節や皮膚を痛めないように、
柔らかい土かマットの上で行います。
(※この他にも指に関する鍛錬と養生法をいくつか加えます。
指は繊細かつ重要な器官ですので、下手に自己流で鍛錬すると、
指を痛めるだけでなく、様々な身体への悪影響がありますので、
姿勢上の細かい注意と特別なアフターケアが必要です。
門下生は正しく習うまで、勝手に行わないこと)

他派の、正拳をしっかり握って、拳の強度を高めるという発想は、
「これ以上つぶれないところまであらかじめつぶし固めた状態」
を当てるというものだろうと推測します。

それに対し、上記の練功の意図の半分は、
「拳をつぶされない方向=開く方向にも力を発揮する」
ところにあります。

この延長上に指尖の突き技があり、
やはり他派の抜き手とは一線を画します。
即ち、
最初から指を伸ばし揃えて南斗聖拳よろしく突いたり斬ったり、
砂をザクザク突いて、
畳をブチ抜く演武(懐かし~)をしたりしません。
拳で突き、それを開きながら、
あくまで指の丸みがある状態で打突し、
めり込みながらさらに指を開くように力を伝え、
なおかつ決して指の丸みの範囲を越えないようにします。
そうすることによって、「突き指」の怪我を避けるのです。

まだまだ拳については沢山語るべきことがありますが、
とりあえずこのぐらいで。

まずは当流では「拳は握らない」という前提で練るべきです。
散打ではテーピングバンテージ&オープンフィンガーグローブにより
まだウチのやりかたで拳を鍛えていない人でも打突を許していますが、
基本的には鍛えずに使える掌打の使用を推奨しています。

Posted by 猫だニャン at 2012年04月02日 14:43

>猫だニャンさん

コメントをありがとうございます。

レスが遅くなってすみません。
4月中(特に前半)はバタバタしていたのですが、その後はちょっとサボリモードでした。。

…と言うか、実はちょっと面倒臭くなっていたのです。
今後もいいお付き合いができるようであればしたいのですが、こんなことでそれが可能なのかなぁ?…と。
まぁ、ひとまずは前向きに、正直に書くことにします。

猫ださんのコメントを読んだときの率直な感想は、
「この人、何でこんなこと書いているんだろうなぁ…」
というものでした。
たぶん、猫ださんは、僕の記事に対して、バランスを取るような意味で、
「一方、こんなやり方、考え方もあるんだよ」
というようなことを言いたくて、ご自身の古い文章を引っ張って来られたのだろうとか、多少はこのコメント用に編集もされたのだろうとか、は、解らなくもないのですが、内容的には対抗的なところがありますし、「拳の握り方」の範囲からはみ出している部分や、自流のアピールのように感じられる部分があり、あまり面白いものではありませんでした。

順を追って書きますが、まず、猫ださんが書いていたことの内、特に前半、拳の握り方に関する部分は、僕も昔、大体そう習いましたので、おっしゃることは概ねその通りだと思いますが、僕は必ずしもその理屈を納得していません。
僕の場合、他の武術や拳法も交えてですが、当流的にもう少し上の理屈としてX先生から(X先生の工夫も含めて)S先生を経て伝わっていることや、その後にS先生が工夫されたこと、それに対する僕の解釈や工夫…などがあります。
ただ少なくとも、陳伴領・王樹金系の内家拳として教えられたことは、猫ださんと僕とは、伝承系統は違うにせよ概ね似たようなことをやっているわけですから、猫ださんに改めてそういう初歩的なことを説明されても苦笑いするしかありません。
つまり、誰に向かって発している文章なのかということです。
僕の記事に対する問いかけや意見・感想を書いて下さるのなら分かりますが、猫ださんのコメントの内容は、僕なら知っているだろうと推測できることのはずですし(他派の内家拳でも大体同じではないかと思いますが)、結局、他の読み手に対して書いているように見えます。
そういう自流のアピール的な解説ならご自身のHPやブログでやってもらいたいというのが正直なところです。
また、対抗的なことを書く場合は、よく考えていただきたいと思います。
反対意見を書いてはいけないということではありませんが、ここは某巨大掲示板のように好き勝手な議論の場を提供しているわけではありませんので、書く場合は注意してもらいたいのです。
そのことは『はじめに』(http://doyotaichi.seesaa.net/article/30739734.html)でも書いています。
そもそも僕が書いている記事は、僕が昔習ったことも含めてですが、中国武術修行者の中で一般的に浸透している理屈に対する疑問や否定を含んでいます。
今回の記事についても、「拳の握り方」に絞った範囲で、色んな理屈はともかく、こうするのが真っ当だろうと思うことを僕の視点で書きました。
しかし、自流の伝承通りのやり方や従来の方法が正しいと思う人は、それを信じてやればいいのです。
それを、「そんなことはわかっている」という初~中級のことを、対抗的に出されたら、通じないもどかしさを感じて苦笑するだけです。

でもせっかくですから、今回のコメントについては、幾つかレスしておきます。

>師伝の形意拳では、拳は「螺子拳」と言って、

昔、こういう拳の握り方を教わった頃にそういう名称で教わった記憶はありませんが、「螺子拳」という言葉は聞き覚えがある気がします。
以前、メールにも書きましたが、ウチは(全中連の頃もそうですが)古武術などを取り混ぜて行っている流派ですし、ほとんどが口伝えですから、呼び方などは必ずしも正確では無いかも知れません。
ちなみに「正拳」については、この記事を書くのに便宜上そう書いていますので、ウチでも元々「正拳」という呼び方があったわけではありません。

「拳面をそろえずずれた形状で」という部分は、僕も大体そのように習いましたが、握り方は手のひらの内側の関節部分(横向きの手相があるあたり)に沿うように軽く握れば、指の長さが違うので自然にそういうかたちになるという程度にでした。
インパクトの際に“整える”というか、完成形状になるのはそうですが、ミット打ちに関して書いたように、拳については正拳における拳頭を当てるのが基本かつお約束です。
肘から先の、つまり前腕部の骨から拳頭までが真っ直ぐになっていなければならないというのは、空手もそうですが、僕が習った武術はすべてそうです。
理屈は色々ありますが、少なくとも拳撃において、これが出来ていれば握りなどはあまり関係ないと思います。
(それが出来るようになるための訓練として僕流の拳立て伏せを書いたわけです)
握り方による“理”や、これ以外の当て方諸々は、また別の話です。

また、猫ださんの言う「整える」の、打突が正拳と異なる部分は、変化・応用を言っているのだと思いますが、僕が記事で書いている拳の握り方は、正拳(もしくは正拳に相当する拳撃)として、
「どう握ってどう当てるか」
という話ですので、もし勘違いしておられたら、そこはお間違いなく。
猫ださんのところで、僕の説明と大きく違うやり方をしているのであれば、そこは、
「ウチではこうしています」
ということで紹介してもらえればと思いますが…。

>ネジ形状である主な理由は

まー、そういうことは僕らもそう教えられて散々考えたんですがね。。
別に間違っているとは思いませんが、現実的な攻防の中では難しいと思われることも混在だという気がします。<特に②なんかは。。

⑤については、まぁ、拳を放つ途中で握り締める人はあまり居ないでしょうが、今までの入門書でも「インパクトの際に握る」とよく書かれてあったように、空手や少林拳などでは、型や反復稽古の際、突きの動作が完成するときに強く握ります。
よくある悪い癖として、バックモーションが染みついていて、そのバックモーションの際に力を込めてしまう人は、攻撃の起こりを読まれてしまうだけでなく、拳速も遅くなってしまうでしょうね。
しかし明らかに遅い人は、終始力んでいる人でしょうし、武術を一定以上やっていてそんなことをやっている人は、センスが無いと言わざるを得ません。

>  一部の空手の様に終始握っての速度維持には、
>  ソレ相応の訓練が必要です。

空手は深くやっていないので推測を交えて言いますが、空手でしっかり握るのは初心段階での話だと思います。
終始しっかり握る人(あるいは流派)は、本土後の空手でそれが定着してしまったのかも知れません。
また、記事にも書いたように、特別な訓練をしなくても力まずにしっかり握れる握り方もあります。
ただ、基本通りの正拳にしても、慣れればしっかり握っていても力まなくなりますし、かたちが出来ているだけで(しっかり握っているように見えて)、力は抜けていたりします。
それに、基本や型などで終始力を込めて握るように教えるところがあったとしても、自由組手などでは違うでしょう。
足の筋肉を硬直させながら速く走る人は居ないように、速く動こうとすれば力は自然に抜けるものですしね。

⑥の力積云々は、拳より掌の方が威力が大きいという話にもよく使われると思いますが、軽く握った拳をベチャッとつぶれるように当てるのが、現実的な攻防の中でどの程度有効なのかは、僕は疑問を持っています。

>我々の威力の出し方の特性(=胴体の前進慣性を拳に伝えるのが主体)

まー基本と言えば基本なのですが、そこは他の武術でも同じだと思います。
胴体と言っても、つまるところ足の力を手に伝えるということになりますが、初歩的な例えで恐縮ですが、エンコした車を押している状況を考えれば、力の伝わり方はわかりやすいでしょうね。
中国武術ではあれこれ細かな理屈をつけていますが、結局は他の武術でもやっていることだと思います。

(続く)

Posted by hide~☆ at 2012年05月08日 14:03

(続きです)

>実際の実戦の人体は、
>正拳がきれいに当たってくれる角度を晒していることはむしろ少なく、
>打突時に、相手は斜め半身であったり、
>打突部位が曲面である場合が多いので、
>拳面が螺旋状にずれたものを捻りながら突くことで、
>最適な打突面を捉え、
>身体にほんの少しめり込んで潰れながら変形して、
>最も威力の伝わる状態に落ち着かせる、という考え方です。

そんなことは言わずもがなだと思います。
ボクシングなどでも相手との距離や状況に合わせて自然と打ち方を変えるように、同じ拳頭を当てるのでも、打ち方は色々あるでしょう。
ただ、そのようにめまぐるしく動く状況の中で、拳の握りを上手くコントロールして適切な当て方をさせるというのがどれほど出来るのかは、僕としては疑問が残りますね。

>従って「正拳」という言葉がそもそもありません。

先にも書きましたが、僕が習った流派にも元々ありません。
便宜上です。

>間合いによっては打突終了時に縦拳になることも横拳になることも、
>斜め拳?になることもありえます。

当然だと思います。
それは空手でもボクシングでも、状況によってはそうでしょう。
ちなみに斜めで打つ拳のことを、ウチの流派では“隅の拳”と呼んでいます。

>これに従い、拳を鍛えることについても、
>拳を握り締める流儀とは真逆の練功法を用います。
(※以下略)

その理屈は(拳立て方法の指云々も含めて)ウチでもほとんど同じです。
固い床でやれとは僕も書いていませんが、その他諸々細かい点についても、いちいち書いていたらキリが無いので省きます。

>他派の、正拳をしっかり握って、拳の強度を高めるという発想は、
>「これ以上つぶれないところまであらかじめつぶし固めた状態」
>を当てるというものだろうと推測します。

固く握った拳を当てるというのは、人が教えられなくても必ずする有効な攻撃方法の一つです。
太極拳や内家拳で、他の理屈を持ってきてそちらの方法が有効であると説いたとしても、他のあらゆる武術や格闘技に存在する固い拳での攻撃を否定するとしたら、それは奇異である気がします。

>それに対し、上記の練功の意図の半分は、
>「拳をつぶされない方向=開く方向にも力を発揮する」
>ところにあります。

沖縄空手で、瓶の口を掴む練功法があるのは有名ですが、裏の練功法として、口の内側に手を入れて、開く方向に指を張って、瓶の重みに耐えるやり方もあるそうです。
(ある先生に言わせればこちらが本当のやり方だそうです)
僕が習った内家拳以外の武術でも、今回、猫ださんが書いていることは、他も含めて、同じようなことをやります。
…と言うより、
「何を当たり前のことを」
と思ってしまうのが正直なところです。
そこは、初心者に対して説く場合でも、「ウチは余所と違ってこうだ」とか「これがウチの特色だ」みたいな言い方はしない方がいいと思います。

>この延長上に指尖の突き技があり、
>やはり他派の抜き手とは一線を画します。

その、指を伸ばして突くというのは、空手や他でもやらないと思います。
たぶん見せかけ(嘘)でしょう。
例えば僕が昔習った金鷹拳でも、空手で言う抜き手(中国的に何と言うのか知りません)がありましたが、指の関節にに丸みを持たせて(突き指を防ぐようにして)突いていました。
空手の畳を抜くデモンストレーションも、あんなことは本当にはできないと思います。
それに、仮にそこまで手を鍛えることが可能だったとしても、それこそ、
「そこまで素手に拘らんでも、武器を使えばええやん」
の世界です。
つまりそこまでの威力・破壊力のある攻撃を人に対して行うとすれば、素手であろうが武器を持っていようが、相手を殺傷する行為になるわけですから、そこまでの状況なら、素手に拘らなくていいんじゃないかということです。
…で。
突き指を警戒しなければならないヤワな我々は、そもそも抜き手なんて実戦では使えないと思います。
もちろんあらゆる技を練習はしますが、つまるところ拳法の(有効な)攻撃技は、
“拍、撃、切”
の3つしか無いというのが、ある先生の言であり、ウチの流派の考え方でもあります。

>まずは当流では「拳は握らない」という前提で練るべきです。

内家拳では拳に対して否定的ですが(僕もそれをそのまま鵜呑みにしてそう思っていた時期がありましたが)、今は懐疑的に思っています。

>散打ではテーピングバンテージ&オープンフィンガーグローブにより
>まだウチのやりかたで拳を鍛えていない人でも打突を許していますが、
>基本的には鍛えずに使える掌打の使用を推奨しています。

テーピング、バンテージ、グローブ等は、スポーツを前提としたものですので、ウチでは使いません。
但し、一本組手のような稽古をする際、想定によっては細かい怪我を防ぐために手袋を使う場合はありますが…。

掌打は、拳より安全ということは無いと思います。
まぁ、僕の拙い喧嘩の経験上ですが、相手の顔面や頭部を掌で叩いた際に、指先や、親指の付け根の柔らかい部分(魚腹)が腫れたことがあります。
頭部は、相手が回避動作をした際にうっかり叩いてしまったのですが…。
また、指を捕まれて危うく折られそうになったこともあります。
うかつに拳で相手の顔を殴ると、相手の歯で拳を傷つけられてしまうことがあると言い、最近、軍隊などでは、エイズをうつされる心配があるから格闘においては手刀や掌打を使えと教えるそうですが、そこまで考えていたらキリがない気もします。
ともかく僕自身は小さい頃から拳で人を殴って手を怪我したことはありません。
むしろ鍛えなくても使えるのは拳の方だと思っています。
--しかしながら。
「なるべく掌を使え」
というのは、ウチでもそうです。
でもそれは掌が鍛えなくても使えるからではありません。

…と。
色々書きましたが、対抗的なことや自流のアピールのようなことにレスすると、こちらも幾らかは反対意見のようなことを書かざるを得なくなります。
このブログは元々、読み手の人に色々考えてもらうために、従来のものを懐疑的・否定的に捉えて書いている部分があります。
しかしそれは議論が目的ではありません。
どうせ初・中級あたりのことしか書けないのだから、うだうだ主張し合っても仕方が無いのです。
なので、ぶつかり合うような内容はなるべく避けつつ、意見・感想や、情報の提供・交換に留めてもらえるのが望ましく思います。

あと、遅くなってしまいましたが、メールの返信も追っつけ書きますね。

Posted by hide~☆ at 2012年05月08日 14:04

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