中国拳法、武術、格闘技など、徒然気ままに…

太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

とある演武大会

投稿日:2009年12月19日

最近のことだが、このブログを通じて知り合った人からお誘いを受けて、中国武術の演武大会を見に行って来た。

それまで演武大会と言えば、大昔(25年以上前かな?)に一度見に行ったきりだ。
僕の記憶では、空手流派と日中友好協会が共同で主催していたと思うのだが、実際にどうだったのかはわからない。
確か場所は大阪府立体育館で、双方の代表選手が空手と中国武術を披露し合っていた。

空手側は、厳かな雰囲気で、力強くきびきびした演武。
瓦や板の試割りなども行っていたと思う。
中国武術側は、今ではお馴染みの、体操競技のように飛び跳ねる型と、象形拳や太極拳など。
そして、複数人でアクション殺陣もどき。
あと、槍の先を喉元につけて押し返したり、青龍刀を喉元につけて、刀の背を叩いても「切れてな~い」というパフォーマンス。
ちなみに。。
青龍刀のときは、ちょっと見え見えなタネに思えた。
まず最初に大根を切ってみせるのだが、そのときは切っ先部分で切っている。
そのあと喉元に刀をつけるときは、刀身の真ん中あたりより柄に近い部分。
どうやらその部分には刃がついていないらしい。
会場にはS先生と、師匠であるT先生、そして兄弟弟子たちと行っていたのだが、僕がそれを口にすると、
「ははは。気がついたか!」
と、S先生は笑ってらっしゃった。
…とは言え、切れないまでも、喉元につけた刀の背を叩かれたら痛いだろうし、ちょっと見破った気になったくらいで真似などできそうにない。
槍の方も、ウチではそんなことしないから、本当にどうやるのかはわからない。
まぁ…できるようになりたいわけではないから、どうでもいいけれど。

ただともかく。

このときの中国側の表演やパフォーマンスには、正直、少しがっかりした。
例えば、ジャッキー・チェンのコミカルカンフーを見て、面白がってあんな型をやってみたいと思ったことはある。
しかし中国拳法を習うようになってから実質知りたかったのは、如何に効率的に人を倒すかという方法そのものだ。
当時はそのために型が上手くなることを目指していたし、型の武術性をどう理解すればいいかを模索していたわけだが、まだ情報が少なく、本場中国から来た選手たちがどんな型を見せてくれるのかと期待が膨らんでいたのに、結果は、体操競技と大道芸を見せられたような印象だったからだ。
もちろん、身体能力を評価できる部分もあるのだが、他の格闘技より優れた“武術”として想像していた中国拳法からは、ほど遠いものだった。

その後、映画『少林寺』が公開されて、主演の李連杰(リー・リンチェイ。後のジェット・リー)を始め何人かの武術家が出演し、中国武術ブームに拍車がかかった。
まぁ確かに『少林寺』を初めて観たときには、映画の迫力に圧されて、
「こんなすごい動きで迫ってこられたら、どう対応すればいいんだろう?」
…なんて思ったものだ。
しかしそれでも、僕が想像し求めていたようなものとは、何か違う。

例えば、形意拳の伝説的な達人、郭雲深だ。

相手との距離が縮まるや否や、中段突きの一発で倒してしまう一打必倒の拳。
どうすれば、力も要らず、体も特別鍛えないで、そんなことが可能になるんだろう?
…と想像をめぐらせていた。
郭雲深がやっていたような武技に筋力が必要で無かったのかは今では疑問だが、それは置いて、ここで言いたいのは、郭雲深が飛んだり跳ねたりして戦ったのかということだ。
まぁ、若い頃にはそういう練習もしたかも知れないが、少なくとも“半歩崩拳”と言われる伝説が本当なら、郭の実際の戦い方はそうではあるまい。
手足を大きく開いて伸びやかに動かすような動作でもなかっただろう。

また、その頃から徐々に紹介され始めた、本場中国の武術と言われる表演は、僕には違和感が拭えず、同時期あたりに創刊された武術雑誌『武術(うーしゅう)』で取り上げられた様々な拳種の、基本のような型も、同様だった。
そしてインターネットが普及してから(良くも悪くも)情報が溢れているし、何年か前からはYouTubeやニコニコ動画のような動画サイトもでき、中国武術の型についても数多くアップロードされていて、わざわざ見に行かなくても動画で見ることができる。
だから、、
中国武術の演武大会のようなものには興味が無くなってしまった。

最近は“表演武術”なんて言い方があるようだが、その表演武術の型には、もちろん武術的要素もあるだろうけれど、体操や舞踊のような部分も多く、個人的には、あまり参考になるとは思えない。
本来、武術の型は人に見せるためのものではないし、見せるとしたら“見せられることしか見せない”だろう。
だから、一般化され、競技化されたものは、そういう楽しみ方をするためのものであって、武術修練の一環としてのものとは目的もやり方も違う。
武術への接し方や楽しみ方は人それぞれで、それを否定するものではないが、僕のような考えの者にとって相容れないところがあるのは致し方あるまい。

…で。。
最近行ってきた演武大会。

まぁ、前述のようなことが僕の根底にはあったのだが、直に接してみなければわからないこともあるかも知れないし、小規模ながら全国レベルの大会で上位入賞するような人も来ているらしい。
それにこのブログを通じて知り合った人と直接話せる機会があるなら、せっかく遠くから大阪まで来られるのだし…と、行ってみることにした。
会場には途中から行き、型は到着後に始まった太極拳の部と武器の部(?)を少し見ただけだったが。。

ちなみに、
その中には武術雑誌で名前が知れてる人も居たのだけど、僕としてはフツーに、
「お上手だな」
と思うだけで、残念ながら武術的な意味での感動は無かった。
つまりそれは、例えば体操にせよダンスにせよ何にせよ、こなれたものや一定以上の水準のものを見て「上手い」と思うのと同じなのだ。
僕が言う感動とは、簡単に言ってしまえば、
「こんな人に殴られたら痛そうだ。喰らったらひとたまりもない」
と感じてしまうような動きに対してのことだ。
また、
僕の知識や価値基準ですべてを計ることはできないにしても、それなりに経験を積んで少しは見る目があるのだから、自分の理屈だけでなくても、
「何か判らないけど凄い」
というものは、それはそれで判ると思う。
一応、誤解の無いように言っておくが、表演武術をやっている人の中にも武術的なものを追い求めている人は居るだろうし、それぞれの実力(強さ)や習っている流儀を、型だけで判断してどうこう言いたいわけではない。
ただ、前述のように、武術に対するスタンスの違いを感じるだけだ。

まーそんなこんなの意味で、
想像通りであり、意外なものは何も無かった。。
…が、
それとは別に、人同士の交流は楽しそうだった。
途中から行ったので、しばらくは会場を囲んでいる2階からガラス越しに見ていたのだが、終了間際に知り合った人に話しかけようと会場に入ったら、中は和気あいあいな雰囲気。
関係者らしきおばちゃんたちが井戸端に花を咲かせていたり、子供の文化祭を見に来たようなノリで応援していたり、あちらこちらで参加者も含めてまとまりなく騒がしい。
参加者と言えば、自分の演武が終わったとき、ちょっと照れた感じで挨拶してそそくさと下がるのも印象的だった。
日本武道で言うところの“残心”のようなものは無く、本当に文化的な発表会のノリ。
しかしまー日本的な精神論も行き過ぎるとどうかと思うし、“武術”ということに拘らなければ、それはそれでいいのかも知れないケド…。
ともかく平和で友好的な雰囲気が漂っていて、楽しそうだ。

それから、このブログがきっかけで知り合った人は、武術的には親戚のような関係になるのだが、帰りにお茶して、少しばかり裏話に花を咲かせたりした。
そのとき別の団体で某内家拳の会の人も一緒に居たのだが、その会はとても和やかなのが特徴で、女性も多く、みんなでスキーに行ったり(?)もするそうだ。

う~む。。

それにはちょっとそそられてしまうなぁ…。。

 

以下、コメント

旧ブログからの移転にあたり、掲載当時のコメントはこの下に“引用”のかたちで付けておきます。管理人からのレスは囲みの色を分けてわかりやすくしておきます。
なお、現在はコメント機能は使用しておりません。ご意見、ご感想等はメールにてお願い致します。

楽しく読まさせて頂きました。全く同感の内容です。W-1観摩表演会も伝統と言いながらも、表演武術の方が多かったですし!
私は伝統の南派をやってますから、次回のW-1に参加して伝統武術の良いところを皆さんに紹介したいと思います。

Posted by 好功夫 at 2010年09月06日 18:18

▼好功夫さん

初めまして。コメントをありがとうございます☆
返信が遅れてすみません。

> W-1観摩表演会も伝統と言いながらも、表演武術の方が多かったですし!

そうでしたか。。

最近は(いつからかはわかりませんが)、“伝統”とか“古式”とか、“表演”と分けた言い方があるようですが、少なくとも表演大会やTV番組で見かけるようなものは、見た目は表演武術も伝統武術も、あまり変わらない気がします。
いや、あまりよく見ていないので、ちょっと見ただけの印象ですが…。。
もちろん、そういった型の中にも武術的な箇所はありますし、参考になるところもありますが、でも大方は、武術的な動きや意味が削られているように感じます。

> 私は伝統の南派をやってますから、次回のW-1に参加して伝統武術の良いところを
> 皆さんに紹介したいと思います。

好功夫さんは関西の方ですか?
去年と同じなら再来月あたりですよね?
都合が合えば行くかも知れません。

それにしてもこのブログ、かなり放ったらかしになっていますね。
近々復活する予定ですので、よかったらまた見に来て下さい。

Posted by hide at 2010年09月15日 10:51

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