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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

アヤシイ気功師 Part3

投稿日:2009年2月10日

アトピー患者の男性が帰って一段落すると、Aさんが歯科医たちに、
「今日アレある?」
と訊ねた。
歯科医たちは、
「はい、用意しています。今準備します」
と言って、プロジェクターを出してきた。
カーテンを閉めて、部屋の灯りを消し、映し出されたのは、人体血管系の解剖図。
同じ人体のシルエット上に、赤と青に色分けされた動脈と静脈がある。
動脈と静脈は別々に映すこともできるようになっていた。
あと、骨格図も映していたかも知れないが、この日の主題は血管系。
何の治療に役立てようというのか、話していたと思うが、僕はよく憶えていない。
“気”の力で血液を綺麗にして、血の汚れに由来するような病気を治そうということだったのかも知れない。
とにかく、言わんとしていたことは、確か、動脈や静脈の太い血管位置と流れの方向を憶えておいて、
「それに沿って“気”を送れ」
とのことだったように思う。
みんな口々に、
「なるほど、なるほど」
と頷いていた。

僕は頭が痛い思いだった。

その“気”は、そもそも何なのだ?
どうやって出すのか、みんな解っているのか?
そして、出せるのか?

Aさんは“気”を一種のエネルギーだと言ったが、それを明確に説明し、出せることを実証しなければ、血管に沿って“気”を送るもクソも無い。
アトピーの男性に話していた何かの樹の葉っぱにしたって、“気”を送れなければ試験的な治療なんて成り立たない。
つーか、“気”を送れたとして、何でその葉っぱで治るんだ!?
血管に送れば、何がどういうメカニズムで変わるというのだ!?

そして…。
このどうしようもない歯科医たち。
まさに人生の敗者のような歯医者。

(;--)//□ ←ざぶとん

まーおやぢギャグはさておき、歯科医と言っても、医科大を出ているわけだし、病理学とか(?)医学の基礎的な部分は、他の医大生同様に勉強しているはず。
それなのに、何で科学的・論理的な検証無しに“気”というものを信じて、こういう治療を本気で行おうとしているのだろう…?
こんな人たちが現役の医者だなんて、嘘であって欲しいものだ。。

そして最も解らないのは、Aさんご本人。
この人の言うことは、どこまで本当で、どこまで本気なのだろう?

僕的には、中国で習ってきたということ自体、嘘だと思っている。
例えば最初に気功の話が出たとき、僕も専門的な気功法のことはよく知らないが、
「じゃあ、八段錦とかもやってらっしゃったんですか?」
と訊くと、一瞬戸惑っていた。
何のことかわからないといった顔だった。
そして、
「オレはそういう型のようなものを習ったのではなくて、“気”の出し方そのものを習ったんだよ。今はそれを治療に使おうと思ってる」
というようなことを言っていた。

僕は結局、つき合いのあった2~3ヶ月の間に、Aさんから“気”の技術を見せてもらったことは一度もなかった。
アトピー患者の男性に手をかざしていたのを見ただけだ。
これで信じられるはずがないのは当然で、あのおばさんたちや歯科医たちが、どうして信じていたのか、不思議でしようがない。
もし、Aさんが何かをやってみせて、それに治療効果があると感じたのなら、暗示にかかりやすい人たちだったということなのだろうか…?

暗い部屋での講義は、段々と眠気を誘ってくる。
限界近くなって、僕はウツラウツラ。
すると、女性たちが僕に、きっ!…という目線を何度も送ってきた。
それでも耐えられなくなりかけていたら、ようやく部屋に灯りが点いた。
その頃、他の信者(?)がちらほらと何人か訪れてきた。
「これからみんなで読経やけど、hideくんどうする?」
Aさんは僕が眠そうにしているのを察してくれたようだが、半ば呆れた顔もしていた。
「すみません、昨日寝ていなくて、体調が…。今日は帰らせていただきます」
と言って、部屋を出た。
廊下を歩く途中で、地獄から響いてくるような発声が聞こえてきた。
ドアも窓も開けっぴろげで、十数人が、
(お経か? お経…だよなぁ?)
というようなものを、一斉に唱え始めた。
(うわー。他の住人から苦情出そう…)
と思いつつマンションを出ると、外はもう暗くなってる。
これから寒くなる季節だ。
とんでもなく疲れた。。

それから数回お誘いを受けた気がするが、どうもその宗教に僕を引き込もうとしている感じだったので、僕は断りの手紙を書いた。
“気”についての解釈や、それによる治療に対する疑問を正直に、できるだけ柔らかく書いて、Aさんに対する感謝の気持ちや、できればその宗教とは関係なく親しくできれば…というようなことを書いた。
しかし返事はなく、その後は電話しても出なくなった。
どうやらへそを曲げてしまったらしい…。(^^;
Aさんとのつき合いは、残念ながらそれきり終わってしまった。

さて。。
Aさんは武術家ではなかったが、何となくこの話、武術界にもありそうではないだろうか…?。。
そのすべてが疑わしいものかどうかは、僕にはよくわからない。
しかし…。
例えば、初心者に手のひらを近づけて、
「何となく温かいものを感じるだろう? それが“気”だよ。その“気”を運用して、力でなく“気”で打つのがウチの武術だよ」
と言って、そのあと素人を近距離から打ってみせたり、ハネ飛ばしたりして、
「ほら、“気”の修練をするとこんなことができるようになるんだよ」
とやれば、そう信じてしまう人も少なくないだろう。
まぁ、僕も入門のときには先生から似たようなことをされて、そういう幻想に取り憑かれていた時期がある(笑)
というか、先生も、当時はそのように信じていたのだと思う。
何せ先生が22歳で僕が18歳の頃の話だ。。(^^;ゞ

ところで、ご存知の方も多いと思うが、中国では気功師を国家が認定しているそうだ。
治療効果のある物質的な意味合いを持ったエネルギーのような“気”についても、完全に否定することはできない。
そしてそういう“気”と武術との関係も…。。
しかし僕は、そういうものも、物質的にではなく、何か別の説明がなされるべきものではないかと思っている。

Aさんとのことは、僕にとっては、武術をあきらめていた頃に、改めて“気”を考えさせられるきっかけになった。
その後、自分で考えたり気づいたりしたことも幾つかある。
その範囲で、もう少し踏み込んだことも今後書こうと思っている。

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