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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

アヤシイ気功師 Part1

投稿日:2009年2月8日

またまた久々…(^^;ゞ
実は年明けに『流儀と伝承』という記事を書いたのだけど、イマイチまとまっていなくてアップしなかった。
…で、ひとまず、前から一度書こうと思っていたことを今回書くことにした。

今回はまた“気”に関するお話。
“気”については、『“気”の武術』(2007/05/28)という記事を始め何度か取り上げてきた。
まーもう少し踏み込んだ内容も予定しているけれど、それはまた追々。。

今回は、“気”というものが、いかにいい加減に扱われているかという一例。。

僕が30歳を少し過ぎた頃のこと。
当時の僕は、それ以前に経営していた飲み屋を失敗し、ド貧乏になって、幾つかの職を転々としたが、また人の紹介で北新地に逆戻りしていた。
ただ水商売は、自分でするのならまだしも、勤めを続ける気はなかったので、他に何かできることはないかと模索してもいた。
そんな折、これまた紹介で知り合った、ある人が居た。

その人は小さい会社の二代目社長で、当時40代後半くらいだったろうか…。
小さいと言っても3~4階建ての自社ビル(兼、工場)を持っていた。
僕がPCに詳しいと聞いて(実際にはそれほどでもないのだが)、自分が使うPCの選定や、会社で導入するOA機器関連の相談に乗って欲しいのだと言う。
でも僕は、そういうコンサルタント的なことまでやれるかどうか判らなかったので、ひとまず話を聞き、アドバイス程度のことをして飯代程度の謝礼をもらって終わるつもりでいたのだけど、会ってみると気さくな人で、すぐに打ち解けて親しくなった。

ただまぁ…遊び人にありがちだが、気前がいい反面、大ざっぱだ。
ひとまず自分用のPCを1台、直接買いに行くから一緒に来て欲しいと頼まれた。
いいのを安く選んでくれとのことだったので、僕はパソコンショップの店員と話しながら、必要な機器やメモリを足した上で最初の提示額よりかなり値切った。
いい感じに買い物ができたと思っていたら、帰りの車の中で、
「おいhideくん、あんなに値切らなくても良かったんだぜ?」
と、苦言めいた言い草。
僕は即座に理解した。
パソコンが思ったよりずっと安かったので、それをさらに値切ることを格好悪く思ってしまったのだろう。
金が無いわけではないし、普段スマートに金を出して飲み歩いているわけだし。。
「でも、いい物を安く…とのことでしたし、依頼された僕の立場としては、それに沿って役に立とうとするのは当然ではないでしょうか? それと日本橋の電気街は、値切る場所なんです。店員も値切られることを前提に最初の金額を提示してくることがありますし、今日の場合はそう思ってさらに値切ったわけですよ。事実、そこから金額を下げて来たわけですし、そういう場で素直に最初の金額で買うのは損…というだけでなく、物を知らない買い方になってしまいますよ」
「…なるほど」
「僕も、今は貧乏ですけど、普段はスマートに金を払いたい方ですし、こんな場所でなければ値切るのは嫌いですよ。一緒に居て恥ずかしい思いをさせてしまったのでしたら申し訳ありませんでしたが、あそこでは誰もが当たり前にやってることなので、そう理解してもらえればと思いますが…」
すると、いささか僕にやりこめられた風ではあったが、一つ勉強になったという感じで感謝してくれた。
僕は、
(思った以上にボンボンなんだなぁ…)
と思いつつも、目下に言われても素直に聞くところには好意を持った。

その後、大したことをしたわけでも無いのに、2~3ヶ月の間に数十万円くらいの謝礼をもらったかな…?
副収入としてはおいしかった。(^^;

その社長、仮にAさんとしよう。
つき合いが始まって間もない、あるとき、
「ところでhideくん、太極拳やってるねんてなあ?」
と訊ねられた。
「あ、ええ、まぁ…。でも今はもうほとんどやってないんです」
その頃の僕は、20代後半からだんだん練習頻度が落ちていたし、特に店の経営が思わしくなくなってからは、それどころではなかった。
そして店を閉める少し前に利き手を大怪我して、武術をあきらめてしまっていた。
「実はオレ、気功やってるねん」
「えっ、そうなんですか?どれくらいやってはるんです?」
「ははは。その顔は大したことない思ってるやろ?」
「いえいえ、わからないからお聞きしてるんですよ」
「オレは中国まで行って、その道の人にちゃんと教わったんや。年数は浅いけど、気功には素質があるらしくてな。オレは素質があったから今では人に教える立場や」
「へー」
少し疑わしい気がしながらも、世話になっているので適当に話を合わせて頷いていた。
「太極拳も“気”で相手を倒すんやろ?」
「んー。どうなんでしょうね…? 少なくとも僕が習ったのはそういうのじゃなかったですよ」
「じゃあ“気”は関係ないんか?」
「まったく関係ないというわけでもないと思うんですが…。Aさんがやってらっしゃる気功では“気”をどう扱うんですか?」
「うーん。そやなぁ…。“気”っちゅうのは、まぁ一種のエネルギーやからな…。あ、そうや、今度〇〇大学でセミナーやるから来いよ!」
「えっ!?」
ナントAさん、大学の教室を一日借りて講習会までやろうとしていたのだった。

と、こ、ろ、が…。。

当日、言われた待ち合わせの駅に行ってみると、現れたAさん、ご立腹の様子。
人数が集まらなくて中止になったそうだ。
ただ、僕は、もう少し詳しい話を聞いてみたかったので、喫茶店で訊ねようとした。
すると、
「今度、ウチの会の事務所に遊びに来いよ」
とのことだった。
「え?会社ではなくて?」
「そうや。事務所兼集会所や。梅田にあるから来やすいやろ?」
「まぁ場所的には。その会というのは?」
「あれ?この前言わへんかったかな?オレ、教祖様やねん!」
「教祖様!?」
つまりAさんは、気功の修行を行う宗教法人まで立ち上げているとのことだった。
内容的には仏教を元にしているのだと思うが、活動内容として、気功の修行と、それを生かした気功治療を行っているらしい。

う~む…。胡散臭い…。。

そう言えば、初めて会社を訪問した日、社員たちが僕を奇異な目で見ていた。
「また社長がどこからか知らない人を連れてきた…」
というような戸惑いと好奇の入り交じった反応だ。
そして、部長らしきご年輩の人が、Aさんが席を外している隙に、僕にあれこれ訊ねてきた。
もしかしたら社長であるAさんが社外でやっているこういった活動に、警戒心を持っていた、あるいは、心配していたのかも知れない。

そんなことをあれこれ思いながらも、好奇心も頭をもたげる。
Aさんは人の面倒見もいいし、僕自身も世話になってる。
性格も悪くない。
そのAさんが、一体どんな活動をしているのだろう?
具体的にどんな気功技術なのだろう?
とにかく見てみなければわからない。

「今度、勉強会の日に来いよ。その日は治療を受けに来る人も居るから、それも見ていくといい」

勉強会では、気功治療を行う上級者のスタッフに、Aさんが具体的な治療法をレクチャーするのだそうだ。
その中には医師も居るという。
「医者言うても歯医者やけどな。3人居るで」
「へぇ…。でもお医者さんには違いないじゃないですか。医師にまで教えてらっしゃるなんて凄いですね。当日は楽しみにしていますよ」

当日、僕は前日の仕事が遅くなり、さらに飲み過ぎていて、起きられないんじゃないかという緊張感でほとんど眠れず、体調最悪な状態で“会”を訪ねた。

(Part2に続く)

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