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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

日拳部訪問

投稿日:2007年10月24日

高校時代の続き。

N浦・K戸との一件からしばらくして、H山に誘われて日本拳法(以下、日拳)部にお邪魔した。
と言っても、その日、部員はH山しか居なかった。
部の練習が休みで、道場を使えるから遊びに来いよと誘われたのだった。
H山の友人で同じ科のH崎とS田(※僕と中学が同じだったS田とは別人)も来た。
確か、H崎はまったく武道の経験が無くて、S田は空手を少しやっていたと思う。
H山はノリノリで早速、
「組手やろうや」
と、防具を出してきた。

日拳の組手は、剣道の面や胴のような防具を付け、ボクシングのようなグローブをはめて打ち合う。
たぶん最初は剣道・ボクシングの用具を使っていたのだろう。
今は日拳用の防具が制作されているが、形状は剣道・ボクシングの用具とほとんど変わらない。
改めて調べてみると、現在の日拳用防具は、胴の下に衝撃を和らげるためのマットのような着衣と、金的を守るための着衣があるのだが、それらを着けたかどうか憶えていないので、このとき貸してもらったのは、剣道・ボクシング用の物だったのかも知れない。

やる気満々のH山に、
「いやいや、本気で組手やって敵うはずないやんけ!」
と、3人共笑いながらちょっとたじろいだ。
それでもH崎とS田は何度か来たことがあったらしく、先にH山と軽い組手をやった。
H崎はまったくお話にならないレベルで、H山に遊んでもらっているだけ。
S田も大した動きではなかった。
そして2人共、胴の端を蹴ってしまったりして、
「あいたたっ」
と声を上げていた。
(そりゃそうだな…)
僕も中学の時、3年生の1年間だけ剣道部に入っていて、何度か遊びで剣道の防具を付けて空手の組手をやったことがあったので、同じような痛みは経験している。
うかつに蹴りを使うと、防具で足を痛めてしまう。
H山も足払いや低い蹴りしか使わず、それも稀で、ほとんど手技だった。
しかもボクシングに近いスタイルだ。
初めて経験する相手なので、
(やりにくそうだなぁ)
と思いつつ、でもせっかくだからと、2人のあと防具を着けた。

僕は、組手のときによく使っていた自分流のスタイルで構えた。
心持ち半身で、左足が前。
重心は後ろに置いて、蹴りをすぐに出せるように。
左手は掌にして触手のように上げ、右手はその肘のあたりに添える、または体の中心線上の中段や下段を守る位置に置く。
基本的には相手の右攻撃を左手で捌いて、左足(前足)で蹴りを出す、またはそのまま左手で攻撃を出し、右手は援軍のように使う、というやり方で、これが当時、僕が得意にしていた組手スタイルだった。

思った以上に、H山は僕との組手がやりにくそうだった。
僕もやりにくかったのだが、幾らかの活路があった。
H山は、上体を左右に振りながら近づいて来るのだが、こちらが蹴りを出そうとすると一瞬止まるので、そこを狙える。
また、避けるときには腰を落として上体を大きく振る。
こちらが大振りで空振りしてしまうと、とてもじゃないが慌てて追いかけるように拳を出しても振り遅れて捉えきれない。
しかしそういうときも、低くなっている顔面を狙って蹴りを放つと、動きが鈍って攻撃が当てやすくなる。
もっとも、面を蹴ると痛いので、最初は寸止めして「入った」ということにしようとしたのだが、お互いすぐには止まらないし、入ったつもりでやめると胴に2、3発入れられてしまったりした。
またH山は、上体の振りを上手く使ってパンチを出したり防御したりするので、両足をしっかり地につけて腰を落とし気味にしている。
その上でまるでスケートでも滑っているかのようによく動くのだが、反面、蹴りは出しにくいようで、ほとんど使わない。
たまに出してきても、来る前の体の振りが顕著なので避けやすい。
お互いに当てたり当てられたりして、一進一退。

「ちょ、ちょっとタンマ!」

しばらくやるうち、H山は組手を中断。
「hide、思ったよりやるな。相手しにくいわ」
「そう?自分ではよくわからんけど。H山こそ、さすがによく動くし相手し辛いよ」
そしてH山はちょっと首をかしげた。
「何でやろなぁ。左利きやからかな…?」
まぁ、確かに、一般的に右利きの人は左利きの相手が苦手だと言われている。
しかも僕は、右構え(左手足を前にした右利き用の構え)で左をよく出すので、余計に相手しにくいようだ。
「それに足も。器用に上と下を使い分けて出してくるもんやなぁ」
僕からすれば何となく得意な動きを組み合わせただけだったので、それがそんなにやりにくいとは意外だった。
そしてH山は、
「ちょっと足技無しでやってみてくれへん?」
と言ってきた。
僕は、
「えー。今でも苦戦してるのに、足技無しにしたらオレが一方的にやられるに決まってるやん」
と笑いながら言った。
それでもまぁ、試したいというので、合わせてやってみることにした。
案の定、H山はススッと難なく入ってきて、ワンツー。
さっきまでとは打って変わって、何発も喰らってしまった。
どうにか避けてお返しを出しても空振りの連続。

「ちょ、ちょっとタンマ!」

今度は僕が中断した(笑)
そして、また足技アリに戻してもらったり、他の者と交代したり相手を変えたりしながら、しばらく組手を続けた。
組手をやった時間は合計でも20~30分程度だったと思うが、またもや腕がブルブルガクガク。
後になるほどグローブの重さをひしひしと感じ、腕を上げていられないほどしんどくなってきてしまった。
当然、手数も減るし、スピードも鈍る。
それできつくなっているところへ2~3発入れられて、僕は手を上げて、
「マイッタ、マイッタ!」
と言って、組手を終えた。
また、面の上からでも衝撃はかなりある。
今なら防具はもっと改良されているのかも知れないが、このときは面を脱いだあともアゴの噛み合わせがおかしくて、それがなかなか抜けなかった。

あとは雑談していて、S田はアクロバットが得意だという話になったとき、S田がバク転やバク宙をやって見せてくれた。
僕はバク転が昔から出来なかったのだが、このとき、ふと出来そうな気になって、
「ちょっともう1回やって見せて!」
と頼んだ。
それを見て、やってみると、少しカタチは悪かったと思うが、出来た。
「やった!本当に出来た!マジ今まで出来んかったんや!」
と、僕が大喜びすると、みんな呆れていた。

…それにしても。
このときはやっぱり、体力の衰えを改めて感じた。
デコボココンビとの喧嘩のときもそうだったが、途中で腕を上げていられなくなるほど疲弊するなんてことは、それまで、運動でも喧嘩でもあまり経験が無かった。
翌日に筋肉痛になることはあっても、その日のわずかな間に…。
まだ10代だというのに、さすがにこれではまずい。
そして、
高校を卒業したら、またどこかの道場へ行こうと考え始めた。

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