中国拳法、武術、格闘技など、徒然気ままに…

太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

空手バカ一代に学ぶ

投稿日:2007年2月12日

子供の頃の喧嘩ネタが続いてしまって恐縮だけど、あとで太極拳や武術の話にも繋がっていく予定なのでご容赦を。
つまり後々のための布石…ということで。。(たぶん)

梶原一騎原作の格闘技マンガは、リアルタイムに読まれていたその時代、ある種、喧嘩のバイブル的なところがあったのではないだろうか。
例えば『あしたのジョー』で、丹下のおっちゃんから届いたハガキを見て少年院の独房でジョーがパンチの練習をするシーン。
「えぐりこむようにして、打つべし!打つべし!打つべし!」
同じようにやってみたのは僕だけではあるまい。
もっとも僕はアニメの方で観たのが先だったのだけれど…。
また、少年院のボクシング試合で力石に勝つために小石をこっそり握る裏技なんて、
「そうか、そうすればパンチ力が増すのか!」
と思って、そのためにポケットに小石を忍ばせたりした。
10円玉2~3枚でもいいと書かれてあったと思うけど、子供の頃の10円20円は大事だし、落とすと嫌なので、手の内にしっくり馴染むお気に入りの石を探して磨いたりした。
まー、実際にそれを使ったことはなかったけれど。。
『空手バカ一代』でも同じように色々な技や理屈が登場していたが、こっちは実在の人物や空手の流派をモデルにしているとあって、なお一層のリアル感があった。
それが現実と比べてどうかなんてことは、子供のときのことだからあまり考えてはいない。
ともかく、子供心にあれこれ想像して、どうやって使ったらいいかを考えた。

僕の小学生時代はというと、夜になると、鍵っ子仲間や、家に帰りたくなくて夜遊びしている連中と公園でたむろしていることが多かった。
母とはほとんど話すことが無く、朝は寝ているし、僕は朝飯も食わずに遅刻ばかりして学校に行っていた。
低学年の内は、学校が昼過ぎに終わっても、親が寝ているので家には居辛かった。
夕方は、親が食費を置いて出るのを忘れると嫌なので一旦帰る。
母は黙って化粧をして、お金を置いて出ていく。
義父は働いたり働かなかったりしていたが、ともかく居てもあまり話さない。
同じ文化住宅に住んでいた2歳年上のS君が、同じように親が水商売で半鍵っ子。
歳が離れたお姉ちゃんが2人居て末っ子だったので、僕のことを弟のように可愛がってくれた。
で、義父が家に居るとき夜遊びしていても、S君の家に行っていたと言えば済んだ。
(というより、ほとんど無関心だったからか…)

夜の公園では、8時や9時までざらに遊んでいた。
S君は近所のガキ大将で、彼から見て同学年から4つ下くらいまでの何人かが集まってきていた。
最初は数人程度だったが、S君が中学生になる頃には、多いときは20人くらい集まることもあった。
別のグループと出くわして、S君がそのリーダー格といきなり喧嘩して勝ったのを見たことも何度かあったし、結構強かった。
少なくとも僕らがたむろしていた公園では、ほぼS君の天下。
たまにS君でも恐れるような先輩や少年院帰りのワルなどが来て緊張が走ることがあったが、何もかもがS君ルール。
弟のように可愛がってもらったのは確かだが、このS君のせいで悪さや喧嘩に巻き込まれることも多かった。。

あるとき。
誰が始めたか、相撲をとっていたときのことだ。
その頃、S君は中学生で、僕は5~6年生だったと思う。
普段あまり来るメンバーでは無いが、商店街の八百屋の息子“N”が来ていた。
Nは僕より1つ下だが、大柄でデブで、相撲が得意だった。
確か柔道も習っていたと思う。
彼は突然、僕とやらせてくれとS君に願い出た。
僕は体格でも力でも劣るし、第一、柔道までやっているヤツに敵うわけもなく、
「いやいや、相撲では勝てないよ」
と遠慮した。
…が、周りからやるように囃し立てられた。
S君からもやれと言われて、仕方なく土俵代わりの円の中に立った。
すかさずNはがっぷり組みに来て、僕はあまり抵抗も出来ずに転かされてしまった。
だがNはそこでやめずに、のしかかりながら僕の首を腕で絞めに来た。
遊びと思って本気じゃなかったのに、そのまま喧嘩に持ち込もうとして来たのだ。
「お前なんか恐ないわい。喧嘩したってオレの勝ちや」
というようなことを言った。
いきなりだったので、S君も周りも止めに入った。
僕は砂が口に入り、頭に来て、
「何するんじゃ、あほんだら!」
と怒った。
しかし止められて、その日は喧嘩には至らなかった。

それからだ。

Nは僕に対してなめた態度を取るようになり、何かと僕を目の敵にして、
「あいつなんかいつでもやったる」
と、誰彼無しに吹聴するようになった。
僕は僕で、腹は立っていたが、相撲を取ったときの力の差を感じて、
(勝てるだろうか?)
…と、正直言えば内心不安になっていた。
ちょうどそんなとき、タイムリーに、『空手バカ一代』のあるシーンを読んだ。
記憶の限りだが、漫画の中で大山倍達が、相手を中心とした円周上に攻撃を避けながら隙を窺って勝つというような内容で、それを“円の攻防理論”として描いていたのだったと思う。
「これだ!」
あいつは力はあるけど、こっちの方が身が軽いから、逃げながら戦って顔面に何発か入れれば勝てる、と考えた。
そんな手を思いつくと自信が湧いてきた。

それからしばらくして、
「お前、後輩にあんなこと言われて放っとくんか?」
と、S君のグループで副将的な役割だった1つ上の先輩から言われた。
そしてついにS君の耳にも入ったとき、
「ケジメつけたれ」
と言われて、Nの家の近所の銭湯裏に呼び出すことになった。
S君をはじめ先輩から1つ下まで6~7人が、話を聞いてにわかに集まった。
そしてS君から言われた誰かがNを呼びに行って連れてきた。
S君は最初、みんなで囲んで、つまりは脅して、先輩後輩のケジメをつけるようにシメてやると言ってくれたが、僕は1対1で決着をつけると言った。
S君は、
「おお。それでこそオレの弟分や!」
と歓んだ。
Nは連れられてやって来ると、人数が居るのを見て少し怯えた。
先輩の1人が、
「心配すんな。みんな見てるだけや。お前、hideのこと色々言うてるそうやな。それでhideも話があるそうや」
すかさず僕も話した。
「お前、ちょっと体がでかいからって、ホンマにオレに勝てると思ってんのか?ごちゃごちゃ言うてるようやから、今日はサシでやったるわ」
するとNは、
「そんなん言うたかて、みんなで来てずるいやんけ!どうせ後でオレをぼこぼこにする気なんやろ!?」
と言った。
「みんな見てるだけや。というか、オレがお前と1対1でやる言うたんや」
「ホンマか?1対1でやって、オレが勝ってもみんな手出さへんのやな?」
そこでS君が、
「しつこいぞ。約束するから思い切りやれや」
と言うと、Nは喜びを顔に浮かべた。
そして僕の顔を見ると、
「やったらぁ!」
と声を荒げながら掴みかかってきた。
僕はハナから掴まれるのを警戒していたので、さっと後ろ斜めに避けた。
あとは横っ飛びのような感じでなるべく相手を中心とした円周上に逃げながら、手が届くときは頭を叩いたりパンチを入れたり、膝や太股を蹴ったりした。
効く効かないは関係なく、とにかく手数を出しながら、
「何やデブ!のろいな!そんな体してるからのろいんじゃボケェ!」
などと小馬鹿にしながら逃げ回った。
「逃げてばかりで卑怯やぞぉ!」
とNは怒ったが、
「これも戦法じゃアホゥ。悔しかったら捕まえてやってみんか、デブ!」
と、はね回った。
周りからも、
「そうやそうや。戦法や!」
と野次が飛んだ。
相手を怒らせるといいというのはどこで読んだのか忘れたが、とにかくそれも頭にあったので、僕は挑発しながら逃げ回った。
Nは最初の勢いが無くなり、雑で大きな動きになったので、僕は避けるのが楽になり、2~3発はきついパンチも入った。
そしてNは、何発も僕に小突かれたり蹴られたりしているうち、泣き出して座り込んでしまった。
「もうオレの負けや。堪忍してくれぇ。謝るからデブデブ言わんとってくれぇ」
と、あっさり負けを認めてしまった。
一瞬、場に冷えた空気が流れて、みんな呆れて、あとは大笑い。
S君は、
「お前、こんな喧嘩の仕方するとは、上手いなぁ。感心するわ!」
と讃えてくれた。
そして見ていた者はみんな口々にNに向かって、
「これでhideのこと、これからは先輩として立てろよ。口にも気をつけろ」
と言って、Nもそれを呑んだ。
僕はこれで、何とか面目を保った格好になった。

ところで、こんな風に相手を怒らせるといいのかどうかは、ちょっと微妙だ。
喧嘩の最中も挑発しながら戦ったのはこのときだけだし、それでこれほどうまくいったのも、このときだけだ。
子供の頃の喧嘩だから、相手もメンタル的に弱くて音を上げてしまったが、大人の喧嘩だと、怒らせることで返って相手のパワーを増幅させるだけかも知れないし、やるにしても、もう少し心理的なテクニックが必要だろう。

…で。
この喧嘩で、僕の中で『空手バカ一代』への信頼は増し、空手への憧れも増した。
このあとも時折誰かと喧嘩になったが、大抵は勝った。
しかし6年生のときに同学年の1人に負けてしまったし、『空手 Part 2』でも書いたように、大勢から袋叩きに遭ったりもした。
空手を習いに行けば、こんなギリギリの喧嘩をしなくて済むと思った。
その空手信仰も後に崩れてしまうのだが、それでも、空手を経験してずいぶん空手に助けられた。
そんな経験もまた書くけれど、成長するにつれ、空手の経験も加味されて、より技巧的でリアルになってくるのが解ってもらえると思う。

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