何年か前、某巨大掲示板の武術関連スレッドを見始めた。
と言っても、僕はその掲示板に代表されるようなネット上のノリが好きではないので、アクティブにリアルタイムに見ていたことはほとんど無くて、気が向いたときに過去ログを漁る程度だったが。
そしてその頃、ある人の発言が目に留まった。
その人の発言スタイルもやはり、いかにもな掲示板ノリで、少々尖っていてあまり好きではなかったのだが、内容的にはなかなか面白くて、少し追いかけて読んだ。
すると読んでいる内、何だか共通のものを感じて、
「あれ?もしかしたら同門の人かな?」
と思うようになった。
案の定…というか、その人は同系の太極拳をやっている人だった。
但し、王樹金系ではなく陳伴嶺系であるとのことだった。
そのため“正宗太極拳”ではなく“双辺太極拳”として、区別していた。
「へー。王樹金とは別に陳伴嶺系統の伝承が日本にもあるんだ?」
それまでの僕の認識・解釈は、この太極拳は、
陳伴嶺-王樹金-日本
しかないと思っていたので、
陳伴嶺-別の誰か-日本
があるとは意外だった。
まぁ、それはともかく、この人のことを同門かな?と思ったことの一つに、
“つま先転身”
があった。
昔、太極拳を始めて3年くらいの頃、これを習った。
大抵の武術・武道の型(套路)で、例えば身体の向きを変える際、踵を軸にしてつま先を回し、歩を進める。
前進の際も、まず前足を、踵を軸に外側斜めに開き、前進する。
これは立ち方をしっかりキープするとともに重心移動を明確にする意味があると思われる。
ただ通常の歩行としては不自然なので、歩法や型の練習以外では使わない。
組手や実戦でこんなことをしていたら間に合わないだろう。
そのため、ある程度基本に慣れたら、型の上でもつま先転身を馴染ませようというわけだ。
しかし、今まで何度か、同系の太極拳をやっている人と話したとき、それとなくつま先転身を習ったかを聞いてみたら、みんな何のことかわからないという反応だったので、もしかしたらウチだけかと思っていた。
それを前述の人が、陳伴嶺系の伝でそれがあるというような感じで(確かそんなだったように思う)書いていたので、ちょっと驚いた。
まー僕にはよくわからない。
元々この太極拳の中にあるのかも知れないし、無いのかも知れない。
ただ、後から知ったのだが、この人のところにX先生のお弟子さんだった人が習いに行っているそうだ。
もしかしたらそういう繋がりで伝わったことなのかも知れない。
つま先側で回るという発想自体めずらしくはないし、別に詮索の意味ではないけれど。。
ところでこのつま先転身、以前、他の人に、具体的には説明しないけれど、
「そういうのもある」
程度に話したら、よほど違和感があったらしく、ずいぶんな拒否反応をされたことがある。
何もそれをやれとは言っていないんだが…。
…でも。
ふと立ち止まって、行こうとする方向を変えるときとか、誰もが自然にやってることだと思うんだけど、そういう人は普段の歩行さえ型のようにやろうとしているのかな。。
以下、コメント
旧ブログからの移転にあたり、掲載当時のコメントはこの下に“引用”のかたちで付けておきます。管理人からのレスは囲みの色を分けてわかりやすくしておきます。
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こんにちは!
前にもこちらを訪れたことがありますが・・
久しぶりに伺いました。私も九十九式太極拳をしています。
2年前に陳伴嶺国際武術発展協会を
伴嶺氏のお孫さんが日本に設立されました。なので
陳伴嶺ー陳暁怡-日本になります。
協会では陳伴嶺の原型にできるだけ忠実に
99式太極拳をやっています。
なのでシンプルな動きだと思います。
一度、Hideさんにも見て頂きたいです!Posted by yf at 2012年04月23日 19:15
>yfさん
こんにちは。コメントをありがとうございます。
陳伴領の血筋の方がその武術を継いで指導してらっしゃるという話は、ネットのどこかで見た憶えがありましたが、日本にもあるのですね。
で、「陳伴嶺国際武術発展協会」というのを検索してみたら、ブログがありました。
九州なのですね。
『太極拳教材』の和訳にも取り組んでらっしゃるとか。
自費出版でもされるのでしょうか。
楽しみです。
ちなみに僕は『太極拳教材』しか持っていませんが、日本でかつて入手可能だった本には形意拳や八卦掌もあったとか。
今でも入手可能なら教えて欲しいです。
> 一度、Hideさんにも見て頂きたいです!
ありがとうございます。
ただまぁ、ウチの太極拳はかなり改変されていますから、僕が見たとしても、あまり言ってあげられることは無いと思いますね…。
ごくごく一般的な範囲での感想やアドバイスは出来ても、他派の人にウチの流派の理屈は言いにくいですからね。。(^^;
Posted by hide~☆ at 2012年05月08日 14:27
台湾で本は手に入れました(陳伴嶺著)が中国語なので
それを暁怡先生が日本語に翻訳中です。
が・・なかなか、それを伝えるのは難しいみたいで・・
八卦なども元は一つでも・・
それぞれの先生ががそれぞれにアレンジし・・
違うものに感じますよね。
まぁ・そうやって進化発展していくんでしょうけど・・伴嶺先生は武術の理も解りやすく唱えてあるし・・
生前は無料で武術を教えてあったそうで・・
人間的にも尊敬できると思っています。また、おじゃまさせていただきます!
Posted by yf at 2012年05月11日 16:50
>yfさん
こんにちは。コメントをありがとうございます。
そっかー。台湾に行けば入手できたりするんですね。
僕が持っている『太極拳教材』は、昔、兄弟弟子が中国書籍を扱っている本屋で買ってきてくれたんですが、今わざわざ探しに行くのも億劫で。。(^^;ゞ
ネットで探したりはしたんですが、見つかりませんでした。
東方書店という輸入を扱っている本屋でも見つかりませんでしたし。。<何年か前
まー、どうしても欲しいというほどでも無いですけどね。。
たまたま見つかって、手頃なら買いたいという程度で。
陳伴領の人間性については、僕はよく知りませんが、後世の評判はいいらしいので、いいのでしょう(笑)
> 生前は無料で武術を教えてあったそうで・・
充分なお金がある人なら、そういう人も居るかも知れませんね。
(それでもケチな人もいるけれども…)
僕がブログに時折書いているW先生も無料で教えていたそうです。
しかしそういう人が、本当にどこまで教えてくれるのかは、どうかなーと思います。
よほど歳を取って、天涯孤独で、誰も相手してくれないような老人が、お金に困っていなければ、
「先生、先生!」
と言われるだけで嬉しくて教える気にもなるかも知れませんが…。。(^_^;)
Posted by hide~☆ at 2012年05月11日 17:43
確かに
国会議員を務められたり・・
大学を創立されたり・・とお金持ちだったようです。確かに
教えかたも現在のように
カリキュラムに沿って・・とか
手取り足取りの
丁寧な
教えかたではなかったようです。先生を見て覚える
先生のそばで技を盗む・・
ひたすらに練習をする・・日本の職人さんが昔、そうだったみたいな感じですね!
(お弟子さんだったお方にお聞きしました)
現代ではそういう教え方すると
皆さん、続かないでしょうね・・今は殆どが中高年の女性の方で
健康の為にされてあるので(私の所属する協会です)
武術の部分は少なく
伴嶺先生達が太極拳を修得されるために
されたであろう 修行とは程遠いです。
もちろん、hideさんは修行されたみたいですので・・
レベルが違いすぎて
見ていただくにもお恥ずかしいところではあるのですが・・同じ99式太極拳をする者として
近しく思いますし勉強にもなります。
これからもブログ更新を楽しみにしております!Posted by yf at 2012年05月11日 21:33
>yfさん
コメントをありがとうございます。
やはり(笑)<手取り足取りでは無かった。
僕が言うW先生も、手取り足取りというほどでは無かったようです。
どの程度親切に教える方だったかは、はっきり知りませんが…。
まー昔の人は「見て盗め」式だったとは言いますが、しかしそれでも、肝心なところは丁寧な説明無しには理解できないと思いますし、汚い話ですが、やはり金を積む場合とそうでない場合は、こっそり差別があったと思います。
その処遇の違いが必ずしもお金とは限らないにせよ。
陳伴領のように社会的地位があった人は、お金は逆に取りにくかったのかも知れませんね。
だから、歳を取ってからは、武術家としてではなく多くの人にタダで表面的なことだけ教えていい顔してたのかも知れません。
(ちょっとイジワルな推測ですみませんが…)
ちなみに僕らの師匠たちにしても、それほど懇切丁寧なわけではありませんでした。
特に僕の師匠であったT先生は、たまに機嫌がいいときに丁寧に教えてくれるときがありましたが、基本は見て「覚えろ」「盗め」でしたしね。。
マンツーマンで稽古するようになってから、毎回直接手を合わせるので理解しやすく(盗みやすく)なったのと、昔よりは謝礼を弾んでいたので教えてくれるようになったって感じです。。
> 伴嶺先生達が太極拳を修得されるために
> されたであろう 修行とは程遠いです。
> もちろん、hideさんは修行されたみたいですので・・
う~ん。どうでしょうね。。
陳伴嶺がどんな修行をしたかは、正直わかりません。
昔、型を覚えたての頃、
「ここは陳伴嶺が…」
と、解説のときに、陳伴嶺が考案したと伝えられているらしき箇所についての説明を受けたのですが、どこがどうだったのか憶えてません。。(^^;ゞ
前にも書きましたように、ウチの型は『太極拳教材』とはかなり異なっています。
拳譜にある技の名称や順番は同じですけど、カタチが違います。
そしてまた、陳伴嶺が今ウチでやっているような力の鍛錬をやっていたのかどうかはわかりません。
> 見ていただくにもお恥ずかしいところではあるのですが・・
大阪に来る機会があれば、見せていただくのはやぶさかではないのですけどね。
もちろんこちらの型もお見せしますし。
ただ僕は表演の人のように柔軟ではありませんよ(笑)
まー型は下手ではないつもりですが…。。
> 同じ99式太極拳をする者として
ありがとうございます。
世界にはたくさん居るでしょうけどね(笑)
王樹金系でしたら、日本にも1000人以上くらいは居そうですね。
Posted by hide~☆ at 2012年05月12日 00:38
そうですね。
人間ですから・・
皆さん色々と駆け引きや葛藤などもあったでしょうし・・
馬が合う・合わない・・でも違ったでしょう。
陳伴嶺氏がどこまでどうやって教えていたか・・
私には判りませんが・・
子供にはしっかり、覚えてほしい!
しっかり、受け継いでほしい!と思うのが
普通の親心ではないでしょうか?
陳伴嶺氏の息子さんの若い頃の太極拳の写真を見ましたが筋肉が凄く鍛えられていて
太極拳のイメージとは随分、違いました。
もちろん、太極拳だけでなく八卦や形意拳・剣・棒など
もされていたからでしょうが・・
私達も一応、八卦・形意拳・剣・棒・扇子も習ってはいるのですが。。
体を鍛えるのではなく
頭を鍛える為にやっているようなものです・・
その頭も中々鍛えられず・・覚えられずにいますが・・
hideさんは動画はアップされていませんか?
動画があれば・・99式太極拳みてみたいです。Posted by yf at 2012年05月14日 18:39
>yfさん
コメントをありがとうございます。
> 子供にはしっかり、覚えてほしい!
> しっかり、受け継いでほしい!と思うのが
> 普通の親心ではないでしょうか?
フツーはそうかも知れませんが、陳伴嶺がどう考えていたかはわかりません。
結局それは一般論からの推測でしか無いでしょう。
また、親が「受け継いで欲しい」と思って懇切丁寧に指導したとして、子がきちんと受け継げるかどうかも別です。
ともかく、知らん人のことはわかりません(笑)
> 陳伴嶺氏の息子さんの若い頃の太極拳の写真を見ましたが筋肉が凄く鍛えられ
> ていて太極拳のイメージとは随分、違いました。
それについても同様です。
他の拳法を修行したのかも知れませんし、何かスポーツをやっていたからかも知れませんし、仕事によるものかも知れませんし…ね。
その息子さんが何をやっていたのか、yfさんが推測でなく具体的なことをご存知なら、それを書いてもらえればと思いますが…。
> 私達も一応、八卦・形意拳・剣・棒・扇子も習ってはいるのですが。。
> 体を鍛えるのではなく
> 頭を鍛える為にやっているようなものです・・
まー型を覚えるのも大変ですからねぇ…。
僕が今さら他の武術をやる気がないのもそこが大きいです。
鍛えるということでは、型もやりようによってはしんどいですし、ある程度は型でも筋力増を図れると思います。
また、数百グラムの木製の武器でも自由に振るえるほどになれば現代においては大した筋力と言えるでしょう。
ただやはり型を通して筋力を養うというのは気の長い話です。
それよりは技に必要な筋肉をそれに適した筋トレを行って養う方が効率的ではあるでしょうね。
僕が習った練功法も、ぶっちゃけ、そういった類のものです。
> その頭も中々鍛えられず・・覚えられずにいますが・・
大変ですね…。
僕らも次々と型を覚えさせられた時期がありました。
当時は、
「まず何か一つを集中的にやった方がいいんじゃないか」
とか思ったり、それでも、
「色々やってみれば共通の動きに気づいて面白い」
なんて思ったり、したものですが、結果的には自分が好むものや必要と思うものに落ち着きました。
色んな拳法の型を覚えて保存している人は居ますが、感心する反面、僕らとは目的も価値感も違うのだな、と、今では思ってしまいます。
> hideさんは動画はアップされていませんか?
> 動画があれば・・99式太極拳みてみたいです。
アップしていません。
してればすでに書いています。。(^_^;)(笑)
撮影するにしても、機材はデジカメや携帯電話くらいしかありません。
それらの動画撮影機能も、今のところまだ一度も使ったことが無いです(笑)
ただ僕は、型をあまり大っぴらに公開するのは好きではないんですよね。
公開するとしたら、たぶん肝心なところを少し隠して見せることになると思います。
だからどうということも無いんですけどね…。<その肝心なところを知ってるから強いというわけでもないので。
それと、
動画サイトなどにアップすれば、自分の顔も、拙いところも、残ることになりますよね。
僕は恥ずかしがりですから、そういうのはどうも抵抗があります。
逆に、下手クソな型を中国の音楽をバックに演じていたり、お約束の技を後輩や弟子相手にドヤ顔でやって見せている人を見ると、
「恥ずかしくないのか!?」
と思ってしまいますしね。。
まして、PV風に編集していたり、ご丁寧に型のカッコイイところを得意げに何度もリピート入れていたりするのを見ると「アイタタタ…」って感じになります。
ただまぁ、自己満足な領域で少数の人たちだけで終わるよりは、もう少し広まればいいなという思いはあるので、そのうち動画をアップすることも考えるかも知れません。
まーそのときは、僕はサングラスでもかけるかモザイクでも入れると思いますが(笑)、フツーの人が見ても退屈な演武を粛々とやりますよ。
Posted by hide~☆ at 2012年05月15日 05:34
親の心・子知らず・・
良くある事です。
陳伴嶺氏は子だくさんで
その中で一番、伴嶺氏の下で修行し
又、一番お上手で伴嶺氏からも期待されていた息子さんは結局は太極拳を辞めていらっしゃいます。
後をされている息子さんは他の方になりますが・・
今回、一応引退されます。どのような練習でどのように鍛えられたか?
又、台湾に行きますのでお尋ねしておきますね。
言われてみて私も興味が沸きました。本当に極める太極拳を追及される方は(hideさん派)
そこらの動画は見るに見かねるのでしょうが・・
楽しく健康の為に太極拳をやっている(私みたいな)者は色々な動画を見ては
「へぇ~こんなのもあるんだ・・」
「こんなにしたらいいんだ・・」とか参考になるものですよ。
hideさんのモザイク太極拳が見れるのを楽しみにしています!Posted by yf at 2012年05月18日 18:40
>yfさん
こんにちは。コメントをありがとうございます。
> 本当に極める太極拳を追及される方は(hideさん派)
> そこらの動画は見るに見かねるのでしょうが・・
いえいえ、良いものも、悪いと思えるものも、参考にはなりますよ。
写真だけでは判断できず、動画になって初めてわかることもありますしね。
それに僕は太極拳を極めようなどと大それたことは考えていません(笑)
僕なりに太極拳の使い方を求めてはいますが、やはりS先生から受けた影響が大ですし、結局他の拳法や古武術が入り交じった総合武術の一部としての太極拳です。
もし、太極拳のみを修行している中国人に、
「そんなものは太極拳ではない」
と言われても、何も言い返せません(笑)
まー、僕はそれでも構わないとは思っていますが。。
> hideさんのモザイク太極拳が見れるのを楽しみにしています!
ありがとうございます。
全身にモザイクかかってたりして…。。(^_^;)
Posted by hide~☆ at 2012年05月19日 00:26