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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

内家三拳

投稿日:2007年7月14日

内家三拳とは、太極拳、形意拳、八卦掌の三派を指していう。
内家拳とは道教の影響を受けて創始された拳法の総称で、この三派に限らないらしいが、一般に(日本では?)内家拳というと俗にこの三派を言うことが多いようだ。
今回の話は、
この内家三拳の中でも陳伴嶺・王樹金系、そして僕が習ったものの話になるが、もしかしたら同じ系列のものでも団体や指導者によって違うのかも知れないので、予めことわっておく。

僕が習った派のものは、まず正宗太極拳(日本ではこの名で普及しているので便宜上この呼称にする)として、楊家派を中心に幾つかの派の太極拳を合わせ、形意拳、八卦掌を加味して編纂された太極拳になっている。
だから正宗太極拳は、他派の太極拳をやっている人から見れば、もしかしたら多少違和感のある太極拳かも知れない。
(※2007-01-07『僕が学んだ太極拳』参照)
そしてまた、形意拳や八卦掌も併習するのだが、形意拳あるいは八卦掌だけを行う流派に比べれば、おそらくこの二拳についてはあまり多くを行わない。
例えば型(套路)に限って言えば、八卦掌は基本となる八本の型(八母掌)だけだし、形意拳は五行拳、十二形拳の他、幾つかあるだけだ(と思う)。
つまりは正宗太極拳の補助的なものであったり、さらにそれを高めるためのものであったりするのだが、太極拳と比べた場合に、太極拳より高みに位置するのかどうか…は、よくわからない。
僕的には、八卦掌も実際にはくるくる旋転しながら戦うようなものではないと思っているし、形意拳もシンプルに突き詰めた剛の拳とするには消化しきれないものがあると思っている。
もちろんこれには僕の未熟さや学んでいる範囲の限りがあるのかも知れないのだが、なかなかそれを語るのは難しい。
また、この三派を別々に学んでいたならそれぞれの特質をもっと感じたかも知れないが、正宗太極拳を学んでいると、
「結局どれも同じだなぁ」
と感じてしまう。
趣の違いはあるにせよ、正宗太極拳の中に八卦掌や形意拳もバランス良く入っているため、
「太極拳だけでいいや」
みたいに思ってしまうときもある。
そして、手前味噌ながら、
「この太極拳ってよく出来てるなぁ」
と思ってしまうのだ。

…ただ、まぁ、そう言ってしまうとこの三拳を取り上げた意味がないので、幾らか比較してみる。

太極拳の型は非常にバラエティに富んでいる。
正宗太極拳の場合、九十九勢(九十九動作)あって、繰り返し動作も多いが、八卦掌の八母掌、形意拳の五行拳に比べればずいぶんと技が豊富だ。
形意拳には十二形拳という動物の形を模した十二の型があるが、ほぼ五行拳のバリエーションで、連環拳などもそうだ。
太極拳が豊富な技による千変万化をよしとするのに対し、八卦掌は八母掌のバリエーションによって変化に富むとしているし、形意拳はシンプルで威力絶大を信条とする。
しかし、いずれにしても武術の究極の理想は、如何に速く当てて効率よく斃すか、ということになると思うので、どういう技を使うにしても、共通となる根幹的なカラダを作り、無意識に反応して技が出れば、それが太極拳であろうが八卦掌であろうが形意拳であろうが構わない。
そのための併習であって、使い分けるためではない。

…で。
結局突き詰めていくと、得意な構えや技法で対峙していくことになるし、イザというときにそんなに色んな動きはできない。
では何のために幾つもの型をやるのかと言えば、やはり様々な動きをやっておかないと、なおさら反応できないからだと思う。
たくさんの動きを染み込ませておくことによって、それにハマるシチュエーションのとき無意識に体が反応するようになることを目指しているのだと思う。
そして最終的には同じ根本原理によって技が繰り出せるようになれれば、一見違う技も、そんなに色んなことをやっているわけでは無くなってくるはずだ。
僕的にはそのように解釈しているし、また、それは内家三拳に限らず他の拳法や古武術についても同じだ。

ところで内家拳というと、内功を重んじるため気や呼吸を意識して行うというイメージがある。
そもそも内功とは何かということも一つのテーマになるのだが、今回はそれには触れない。
ただ、特に太極拳では内功を重視するため外功、つまり物理的に体を鍛えることを否定的に見る向きが強い。
例えば筋トレや叩いて鍛えること(排打功)、などに対してだ。
八卦掌や形意拳ではそういう鍛錬を行う派も多いようだし、太極拳でも古式の流派ではやると聞いたことがあるが、日本では徹底的に否定する見方が大勢を占めている。
そのため、
「筋肉は鍛えるな。邪魔になる」
という意見をよく聞く。
同じ正宗太極拳でも、団体・指導者によってそこは意見の分かれるところだ。
そして、外功に否定的なところでは、やはり八卦掌・形意拳についても内功重視のやり方をするらしい。
…まぁ、それをダメだと決めつけるわけにもいかないが、個人的意見としては単純に、
「内も外も鍛えればいいやん」
と思ってしまう。。
八卦掌の走圏なんて、あの構えを維持して歩き続けるのは、やっぱ一種の筋トレ的要素もあると思うし、んでもって型はストレッチって感じで。。(^_^;)
形意拳にしても、相手の動きの起こりを粉砕してそのまま拳を放り込むには、筋骨たくましくないと出来ないという気がする。
もちろん、理想的には化勁を用いてほとんど触れ合わずにただ突き込むということになるんだろうけど、そこに至るまでにはまず剛的なアプローチから入る必要があるのではないだろうか…?

あまり比較になっていなかったかも知れないが、よく解説書に書かれてあるようなことを並べるだけではそれこそ意味がないので、僕なりに書いてみた。
ちょっととりとめのない文章になってしまった感もあるけど、ひとまずここで。

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