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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

Y崎との喧嘩 決戦~決着

投稿日:2007年8月21日

カズが登校していないことが判ったのは1時限目が終わってからだ。
まぁ、あれだけダメージを受けていたのだから、起き上がれない状態になっていても不思議ではない。
何せ昨日の時点でも顔が変形するほどに腫れ上がっていたのだから、もっと酷い状態になっているだろう。
切り傷や擦り傷もあったし、体中あちこち痛いと言っていた。

カズが来ていないが、どうしたものか…。
僕はまた冷静に戻っていた。

奇しくもこの日、午後から技術の授業が入っていた。
あとでY崎のクラスと一緒になる。
そして、技術を受け持っていた先生が病欠で、自習になるということが判った。
何という偶然…。
まるでお膳立てされたように、対決方向へと向かっている。

3時限目のあとの休み時間、意を決してY崎に会いに行った。
隣のクラスといっても、教室数の関係で校舎が別だった。
しかしY崎が居なかったので、他のヤツに言付けておいた。
すると昼休み、今度は逆に僕が呼び出された。
「Y崎があそこで待ってる」
と、呼びに来たヤツについて行くと、そこは相手教室の隣にある男子トイレだった。
(こんなところで乱闘になったらヤだなぁ…)
などと思いながら入っていくと、Y崎を含め3~4人が待っていた。
「hide、オレに話がある言うてさっきの休み時間に来たんやてな。何や?」
と、Y崎はいきなりカラんで来た。
「わかってるやろ。カズのことや。お前、昨日ムチャクチャなことやってくれたな」
「だったら何や?」
「別に。オレはお前と喧嘩したいわけやない。そやから、この先カズに関わらんといてくれるんやったら水に流す。もうあいつのことは放っといたってくれや」
Y崎は黙った。
後ろにいた2~3人はY崎と同じクラスの、K野やY崎にへつらう下っ端連中だった。
いずれも一人では何もできないようなヤツらだが、僕が1年のとき集団リンチを受けた際に、どさくさに紛れて一緒に手を出したヤツも居た。
「Y崎、お前、こいつら応援に呼んでここで喧嘩するつもりやったんか?」
「アホ言うな。お前みたいなんオレ一人で勝てるのに、何でこいつらの力を借りなあかんのや!」
「そうか。そうやろな。お前、強いらしいからな。とにかくカズにこれ以上は手ぇ出さん約束だけしてくれや」
「………」
「どうやねん?」
「おう、わかった。だけどオレのことなめんなよ」
「別になめてへんよ。特別争う気もない。放っておいて欲しいだけや」
またY崎は黙った。
「オレの話はこれだけや。じゃあ行くわ」
「おう」
---と、僕はトイレをあとにして、話は終わった。
あっさり話が済んで、僕はほっとした。
どうやら殴り合いせずに済みそうだと思った。
…だが甘かった。

一旦教室に戻って、午後からY崎たちの方の教室に移動しなければいけないので、その準備をしていると、同じクラスのヤツが1人、心配そうに近づいて来た。
「hide、次の時間、Y崎とやるんか?」
「え?何で?あいつとはさっきトイレで話を済ませたけどな…」
「そうなんか?そやけど次の時間、お前とY崎がやり合う言うて、他のクラスのヤツも集まってくるらしいで。大丈夫か?」
僕は改めて状況を理解した。
最初から自習時間にやり合うつもりでいたわけだ。
「今日は帰った方がええんちゃうか?それかオレ、先生に言いに行ったろか?」
そんなことをしたら余計なめられるし、どうせどこかで待ち伏せを受けたりする。
ここまで来たらもう、いずれにしても避けて通れない。
「いや、ええよ。向こうがそのつもりやったら、オレもそのつもりで行くわ」

そして相手クラスの教室に入って、適当な席に着いた。
Y崎は知らん顔をしていたが、何人かの下っ端が時々こっちを見ながらニヤニヤしていた。
僕が気づいていないのを笑ってる風だった。

それから数分経つうちに、他の教室から授業を抜けて何人かが集まって来た。
もちろんK野もやって来た。
驚いたことに、窓の外に先輩や卒業生まで覗きに来た。
何人かが僕に声をかけて、
「頑張れよ」
と言ってニヤニヤした。
不良系のギャラリーだけで20人以上居たのではないだろうか。。
そして当然、2つのクラスの男子生徒も全員居た。
僕は平静を装いながらも、不味いことになったと焦っていた。

下っ端何人かが後ろの席を前に寄せて、場を作った。
そしてそこに、Y崎がゆっくりとやって来て、
「hide、こっち来いや」
と手招きした。
…行くしかない。
僕は立ち上がってそこに行き、Y崎と対峙した。
そして、
最初は、なめてるとか、なめてないとかの問答から始まった。
結局トイレでの会話の繰り返しや続きだ。

実際、向かい合ってみると、やっぱりY崎は恐い。
こっちもぶん殴ってやるつもりで息巻いていたはずなのだが、体格も力も格段に違う。
(どうしたものか…)
僕はまだ迷っていた。
ただ、どういうわけか冷めていた。
(こいつ…さっきトイレでは、話は終わった風だったのに、今度は味方も増えてずいぶん凄んでいるな)
などと思っていた。
そのうちY崎は僕の襟元を掴んできた。
僕が冷静なままでいるので、ビビッていると思って、まずは掴んできたのだろう。
そしてぐいぐい押しながら怒鳴り散らした。
僕はそれまで両手を下げたままだったが、襟を持たれたときに、相手が右手で掴んで来たので、その内側に左手を差し入れて抵抗した。
Y崎は調子に乗って、教室の後ろの壁に押しつけて来た。
僕の目からはギャラリーの顔が見えた。
面白がってる者、呆気にとられている者、無表情に見守っている者…等々。
Y崎は、
「お前がオレに指図できるほど偉いんか?それやったらオレに逆ろうてみんか!」
と怒鳴って、膝を立ててきた。
金的を蹴ろうとしたようだったが、察知して反射的に体を少しずらした。
膝は太股の内側に当たったが、その瞬間に僕はキレた。
Y崎もその膝蹴りのあと続けざまに殴りかかろうとして右手を振り上げていた。

一瞬だった。

気づいたときには僕の左拳がみごとにY崎の顔面にヒットしていた。
だだだっと後ずさりするY崎を、僕は本能的に追いかけて、そのまま連続でボコボコに殴った。
Y崎が足を取られて転けると、上から殴ったり蹴ったり散々打った。
しかしその瞬間、
K野が割って入って僕に殴りかかって来た。
Y崎しか眼中に無いときにいきなり横から2~3発喰らって、僕は慌てて体勢を立て直した。
「何やK野!オレとY崎の1対1ちゃうんか!」
と僕は興奮したまま声を荒げた。
「お前、オレのこともなめとんのやろ!ついでにやったるわ!」
「は?何でそうなるねん?オレはカズのことでこいつにつきまとうなと言うてただけや。お前も知ってるやろ!」
と、ここに来てようやく周りの何人かが止めに入った。
合わせて、誰かが先生を呼んだらしく、若い先生が覗きに来て、余所のクラスや先輩たちは散ってしまった。
K野も余所のクラスなので、
「あとでまた話そうや」
と言って、居なくなってしまった。
Y崎はなかなか起き上がれなかった。

僕らは、先生の指図で元の教室に戻ることになった。
女子は家庭科室に行っているので、男子はそれぞれ自分のクラスで自習しろということだった。
何人かが僕のところに寄ってきて僕を讃えた。
「hide、凄かったな。まさかY崎に勝てるとは思わんかったわ!」
「すごい正拳突きやったな!」
などと興奮して口々に言った。
「正拳突き?」
「ああ、めっちゃキレイに決まってたで!」
「正拳突きってこうやで?」
と空手の正拳突きの格好をしてみせた。
「そうそう!そんな格好やった。お前金タマ蹴られたやろ。その次の瞬間、正拳炸裂や!」
「ふーん。そうやったんか…。まぁ、金タマは蹴られてないけどな。あの瞬間にキレて、気づいたら手ぇ出しとったわ」
我ながら不思議な勝ちを拾った。

その間、野次馬が何人か、こっそり隣のクラスを行き来して情報を得て来た。
「hide、Y崎があのあと、もう1回やる言うてまた息巻いてるで」
マイッタ。
今度はK野も含めてやらないといけないかも知れない。
もしかしたらまた複数相手になってしまうかも…。。

そして放課後。
K野がY崎を連れて数人でやって来た。
僕はK野にカズのことを再度説明して、K野たちと争う気は無いことを告げると、K野は不思議とすんなり矛を収めた。
今から思えば、勝つと思っていたY崎がやられて、いいところを見せておかないと収まりがつかなかっただけなのかも知れない。
Y崎は、野次馬情報では僕とまだやるつもりだったらしいが、時間が経つうちに戦意喪失してしまったらしい。
僕が、
「もうやめようや。オレらはちょっかいかけられたくないだけや」
と言うと、少し黙って、
「わかった」
と返事をして、またふてくされた顔で黙った。

Y崎はその後、僕に負けたことで、前ほど幅を利かせられなくなった。
しかしやはり強い。
僕に負けたことでなめてかかってきた者をぶん殴ったりした噂を、何回か聞いた。
正直僕は、もう一度やっても勝てる気はしなかった。
どうして勝てたのか不思議でしようがなかった。

Y崎とは後日談があるのだが、次の記事で書く。
ともかく、Y崎は約束通り、その後はカズに手を出すことは無くなった。
K野たちとのつき合いがその後も続いたのかどうかは知らない。

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