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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

T宮との交流 Part2

投稿日:2009年6月17日

さて、ここで言うのも何だが、せっかくT宮が好意で教えてくれたことを、さすがに全部書くわけにはいかない。
彼からの情報が、彼が知っていることの一部に過ぎないにしても。
一応、そのことを念頭に、読んでいただきたい。

T宮が説明した“発勁”は、僕なりに要約すると、身法、心法、呼吸の一致が必要とのことで、勁道とは力の起点から攻撃に使う部位(例えば拳)までの通り道を言うのだそうだ。
そして勁道は、拳種や技によっても違う。
例えば八極拳には八極拳の勁道、形意拳には形意拳の勁道がある、というわけだ。
まぁ…それはT宮に言われなくても想像の範疇だし、意外なことではない。
少しずつ書籍で解説され、大陸系の武術が入ってきて、勁というものが特別な用語で無くなり始めた頃だったから、そこからも想像できなくはなかった。
問題は具体的な方法なのだ。

前に書いたが、日中友好協会系の教室かサークルで練習している人たちと話したとき、彼らが発勁と言ってやっていたことは、息を短く吐きながら拳を出す空手やボクシングと何ら変わりが無かった。
彼らがまだ初心者だったからかも知れないが、もしそれが発勁の正体であるのなら、特別な差異は無いことになる。
本当にそうなのかどうか、知りたかった。

ここからは、彼の説明に添って、アウトラインや、ヒントになるような範囲で書く。

発勁の修得段階としては、まず型の動きから勁道を理解して力をスムーズに伝えることから始めなければならない。
だから初めは、力を抜き、ゆっくり行う。
そしてそれに“気”を乗せる訓練をする。
“気”は一種の生命エネルギーで、霊的な意味もあるらしい。
自分の中の“気”を育てるには、丹田を意識して、そこから体内をめぐらせるようにイメージする。
そして“気感”が得られるようになったら、それを思うところに移動させられるように、立禅や型の上でもトレーニングする。

発勁を単体の動きで練習するときは、蓄勁のとき丹田で気を圧縮させ、それを勁道を経て一気にぶつけるようなイメージで突く。
同時に息も吐く。
圧縮した状態から一気に爆発するように。
松田さんの解説だったかどうかはよく憶えていないが、何かの本で、
「爆発呼吸はくしゃみのようなものだ」
と書かれていたことがあったと思うが、そんな感じの一瞬の呼気だ。
さらにそれを増幅させるための発声法が“雷声”(らいせい)で、T宮のは、カン高い鳥の鳴き声のような発声だった。

また、雷声は、突きよりも少し遅れて発するそうだ。
雷は、光ってから遅れて音が鳴る。
それが雷声の由来だと言う。
陸上競技の槍投げの選手が、槍を投げた直後に発声したりするが、その方が飛距離が伸びるという。
拳法の場合もその方が威力が増す、同じ原理だ、ということらしい。。
なるほど、と思えなくもない。
ウチにはそういう考え方は無いようだが、それも一つかも知れない。

ちなみにウチの流派の雷声は、これとは違う。
具体的な説明ははばかられるが、以前、ネット上で、形意拳をやっているという人が、その人の流派での雷声を、
「バイクの空ぶかしのような感じ」
と表現していたことがあったが、まぁ、それに似ていると言えなくもない。
もしかしたら同じかも知れない。

あと、八極拳では横向きになって肘打ちを行う型があるが、どうやって威力を出すのかとか、十字勁について、などを尋ねた。
だが、そのときはあまりピンと来る説明ではなかったため、よく憶えていない。

それから、太極拳の起勢で姿勢を下げる動作のとき、彼が習った陳家の型では、つま先を外側に踏みしめるようにして、太股は心持ち内側に絞め、股間を丸く(一見ガニマタのように)し、腰を前方に納めるように引っ込め、尻の穴が体の真下に来るようにする。
確かに、陳家の人のそんな姿勢を見たことがある気がする。。
ただ僕的には、
足は纏糸に関連して「なるほど」と思ったが、腰や股間のあたりは、その姿勢だとへそが上を向くような格好で、例えば座椅子に座ってだらけているときのような感じになる。
これに含胸抜背を加えると、立身中正が崩れる。
まぁそこは微妙な加減でバランスを取るということなのかも知れない。
ずっと後のことになるが、このときのことをT先生に話すと、
「その方が力が抜けるからじゃないか?」
とおっしゃっていた。
力を抜くことを目的にすればそうなのかも知れない。
しかし些かだらけた風にも見えてしまうほどになると、極端ではないのだろうか…?

また、この少し前あたりから流行り始めたブレイクダンスで、当時、片方の腕から肩、そしてもう一方の腕にかけて、ウエーブを描くような動作が流行っていた。
太極拳の型でもそんな感じを意識してやればいいと、実演してくれたのだが、確かにそれがT宮の言う勁道と重なるようにも思えて、面白かった。

このとき、中国拳法に限って言えば、僕の方がT宮より少し長いキャリアだったが、知らないことがまだまだ多かった。
T宮がやっていることは、型は大架式であまり実用的な動きには見えなかったが、1から丁寧に段階を経て教えてもらっている感じがして、うらやましい気になった。
僕の方はと言えば、詰め込むように次々と拳法やら柔術やら、型を幾つも教えてもらってはいたが、結局どう使うのかわからないままでいたからだ。
もちろん用法も色々教わってはいた。
しかしそれは型に沿った説明で、中には使いやすそうなものや、お気に入りもあったが、今まで習ったものを自由に駆使して戦えるというのにはほど遠かった。
T宮は、動きはまだ大きくても、迷いがない。
大架式の型を、身法要求をキレイに満たして、卒なくこなしていた。
彼の方がよほど身についているように見えた。

これも何かの縁。
T宮から得る物があれば…という気持ちが募っていった。

次は、発勁練習法のお話。。

<< Part3へ続く >>

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