中国拳法、武術、格闘技など、徒然気ままに…

太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

太極拳教室の顛末

投稿日:2012年7月29日

前々回の記事に関連して、先にこの話を書いておこう。

以前、太極拳教室をやっていた時期があったことは、今までにも触れたことがある。
T先生と再会して間もない頃のことだ。

再会当時、T先生にまた武術を教えてもらえることにはなったが、T先生が勤務している学校に放課後お邪魔しての稽古で、基本月3回の約束だった。
昔は、習いに来ている人が何人も居る中で、先生と手を合わせる機会は少ししかなかったわけだから、マンツーマンで稽古できることはラッキーに思えたが、しかし月3回では稽古量として足りない。
まーT先生も道場をやらなくなってからは、S先生の道場に週1回行っているだけで、あとは自宅での稽古のみになっていたのだが、僕はブランクがある上、年齢も上がってしまって、体力的にも落ちている。
型などを自分一人で外で稽古するのは億劫だし、先生以外の人とも稽古して、まずは体を馴らしたかった。

それで考えたのが、太極拳教室だ。

型なども、人に見られず稽古できる場所が欲しかった。
とりあえず人に指導しながら勘を取り戻そう、そしてもし武術や護身術に興味がある人が来れば、多少は手を合わせつつ試せる部分もあるし…。
…などと思いながら。
で、
近所の町会で使っている会館などを借りられないか調べることにした。
最初は、人からの紹介で自宅から少し離れた場所を借りられたのだが、僕がその地区の住人でないことが判ると追い出されてしまった。
その間2ヶ月くらいだったろうか…。
追い出される少し前には、もっと近所で借りられないかと住居地区の町会を調べて打診していたので、場所はスムーズに移行できたのだが、ただ、近所の会館を借りる際には、ちょっとすったもんだあった。
まず面接に来て欲しいと言われ、行ってみると町会のおっちゃんおばちゃんたち役員6~7名が揃っていて、事務室の狭い部屋で囲まれた。
田舎なので地元の結びつきが強いのか、僕のように余所からやって来た人間には厳しい目が向けられているようだった。
そして、色々問答する内、どうも貸してくれそうにないようだと思い、ダメならこれ以上の問答は不要でしょう、と立とうとしたら、引き留められた。
どうやらそれまでも貸してくれる方向での話だったらしい…。
そして、「太極拳」は先に入っている教室があるとのことで、名称を変えられないかと言われた。
僕はちょっと驚いて、
「…そう言われましても、太極拳は太極拳ですしねぇ…」
そのときの町会長さんは、僕が書類に書いていた「正宗太極拳」の文字を見ながら、
「この、“まさむね”太極拳というのは、他の太極拳とどう違うの?」
と聞いてきた。
「“せいそう”太極拳です。名称はまー流派名みたいなもんです」
「ほー。“せいそう”ね…。ふむふむ。…で、その“まさむね”太極拳の違いは?」
(まーいいや…)
「日本で言えば古流武術ですね。たぶん先に入っているという太極拳は、健康法主体の体操のようなものじゃないでしょうか?」
「じゃあ、武道や護身術のようなこともやるわけ?」
「そうです。でも、お借りするのが平日のお昼過ぎですし、習いに来た人が特に希望されない限り、当面は健康法として教えるつもりですが…」
そしてまた問答が延々…。。
名称は、面倒になって、半分ふざけて「カンフーフィットネス」とした。
その方が近所の中高年が習いに来やすいんじゃないかと思ったのもあるけど。。

それまでに無料で掲載してくれるニュースペーパーに広告を出したり、コピーした宣伝チラシを近所に投函して回ったりしていたのだが、引っ越し前の会館では、飲み屋で知り合った人や女の子などがちょっと覗きに来てくれる程度だった。
なかなか続けて習いに来る人が現れない中、最後に70歳のおばあさんが訪ねて来た。
どこかで見たことがあると思っていたら、同じマンションの住人だった。
で、習いに来ると言うので、
「では、改めて引っ越し先の会館で始めましょう」
ということになった。

このとき僕は、入会金も月謝も取らず“無料”で教えることにしていた。
前述のように、主に自分の稽古のためというのがあったし、会館を借りる料金もそう高くは無かったからだ。
T先生には当初から、
「人に教える場合は月謝を取りや」
と言われていたのだが、僕はT先生にも、自分が練習場所を確保したいだけなので、ひとまず無料で、ということで通した。
武術として習いに来る人が現れたら月謝を取ります、ということで。。

おばあさんは習い事が好きらしく、書道や踊りやその他諸々、6~7つくらいの習い事をしていた。
また、面倒見がいい人で、他の習い事で知り合った人を次々に誘って紹介してくれた。
僕は自分の教室を流行らせたいわけではなかったが、人が居なくても張り合いが無いわけだし、その気持ちは嬉しく思っていた。
そしてあっという間に常時5人以上が習いに来るようになった。
多いときなら10人くらいになることもあった。
そしておばあさんは、みんなで相談して、月謝を払うと申し出てきた。
僕は、当初の目的を説明して、月謝は要らないと言ったが、それでは申し訳ないから取って欲しいとのことだった。
それで僕が思案して、
「じゃあ五百円で」
と言うと、おばあさんが、
「いやいや、そんな額では…」
と言いつつ、他の人たちと顔を見合わせて、
「ほなら、千円にしましょ。私ら千円払いますから!」
と、決めてきた。
「じゃあ、有り難くいただいておきます」
と落ち着いた。

ただまぁ、僕にすれば、内心、正直言えば、もらうならちゃんとした額をもらいたいところではあった。
僕は毎月何万円も使って武術を習っているのである。
それを、安い金額を自分たちで設定して、勝手に、
「これで気持ちよく習える」
みたいに納得した気でいるのはどうよ?…って感じなのだ。。
そして実際、お金が発生してからは、僕に対する要求も色々出始めた。
まず、
なかなか覚えない癖に、太極拳をいちいち「一緒にやって下さい」と甘えてくる。
僕としては、本人がちゃんと覚えて、自分で繰り返しやって欲しかったし、それを見て修正してあげて、また独練を繰り返す中で、上達していって欲しかった。
僕自身も型はそうやって習ったのだ。
それを毎回いちいち「一緒にお願いします」だ。
で、一緒にやって、次は見ているから一人でやって下さいと言うと、途中でわからなくなる、その繰り返し。
結局、最初の一区切りである十四勢までたどり着くのに半年かかった。
そしてその十四勢も、次の練習日にはまたあやふやになっているという始末だった。

その間、最初に来たおばあさんは途中で音を上げてしまい、覚えられないからとやめてしまった。
僕は、太極拳を覚えるのは大変そうなので、まずは歩行練習から始めさせていたのだが、その歩行さえ難しいと言い出す始末…。
でもそう言いつつ、余所で習っているナントカ踊りを披露し始めたりするのだ。
「よくそんなの覚えられましたね」
などと誉めると、得意げにその話をし始めて、稽古が中断してしまう。。
僕が誉めたのは、当然、
「そんな踊りを覚えられるなら、これだって覚えられるでしょう?」
と言いたかったわけなのだが。。
要するにご本人、寂しいのだ。
人恋しさで習い事を幾つもやっている、それは解ってあげたい気もする。
でもまー、ウチが中高年のおばちゃんたちのサロンになってもいいのだけれど、練習は練習で、もうちょっと気を入れてやってもらいたい。
そんなことを注意すると、音を上げてしまって、まずそのおばあさんがやめてしまったわけだった。
その後は、55~60歳あたりの年齢層の主婦たちが残っていたのだが、型を覚えるのが楽しく出来ないと言い始め、
「先生、音楽でもかけながらやりませんか?」
と言い出したりする。
「聞いたんですけど、余所の太極拳教室では音楽をかけながらやるそうですよ」
…と。
う~ん。それはそれで、合わせてあげられないこともないのだけれど、僕としては非常に面倒臭い。
そんなことをやりたいなら余所に行ってもらいたい。
結局、そうこうする内、習いに来る人はみんな居なくなってしまった。
最後にただ一人、当時僕が行っていたスナックのママの娘が習いに来ていたのだが、あるとき僕がそのママと店で口喧嘩をして行かなくなってしまったので、その子も来なくなってしまった。
で、習いに来る人が一人も居なくなったのを機に、僕も教室をやめることにした。

それを話すと、T先生はドヤ顔で、
「な。ちゃんとお金もらわな、人は続かんのやで」
というようなことを言っていた。
考え方としてはこうだ。
人は、高い金を払えばこそ、元を取ろうとして頑張る。
逆に言えば、その高い金を払ってでも習おうという意欲がある者で無ければ続かない。
教える方もそれなりにしんどいわけで、いっぱしの金額をもらってるからこそ責任を感じながら教えることができるのだ。
それで、習いに来た人が続かなくてすぐやめても、
「小遣いくらいにはなった。ありがとさん!」
ってなもんだ。
同じような話は他でも聞いたことがある。
僕が勤めていた会社でもそうだった。
英会話やパソコンのスクールを経営していたが、料金は高めの設定で、それに対する理屈は大体同じだった。

だからと言って、よくある武術教室のように、型ばかり教えて高いお金を取るのはどうかと思うのだけれども。。

でもまーともかく。
僕も、無料や安い料金で教えるのには懲りてしまい、妥当と思えるくらいの金額はいただこうと思うようになったわけだ。
僕は教室運営をマジメにやっていこうなどとは考えていない。
人対人の関係で、少人数をきちんと指導できればと思っている。
その中で、自分が稽古を続けられて、指導料としてもらう分が今後の自分の修行の足しになればいいということと、強い弟子をきちんと育ててみたいというささやかな野心があるだけだ。

ちなみに。
先日問い合わせがあったのを機に、放ったらかしだった同好会HPをひとまず完成させて、実質活動開始…ということにしたわけだけど、その後、HPへのアクセス数は、当初10~15人くらいで、何日か経ってからは、多いときで10人前後、少ないときで5人前後だ。
もちろんこれはページビュー数ではなくユニーク数(アクセスした人の数)。
決して多くはない…どころか、かなり寂しい数ではある(笑)
でも入会案内ページを見ている人やリピーターなども居るので、数人くらいは、まーそのうち集まるんじゃないかと思っている。

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