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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

しんどい外功鍛錬(筋トレ)

投稿日:2012年2月27日

前項に関連して、当流の外功鍛錬(筋トレ)についてもう少し触れよう。。

30歳を過ぎた頃、利き手である左手を大怪我して、一時は武術をあきらめてしまったことは、前にも書いた。
その後はまともな練習などほとんどしなくなり、当然、体も鈍って、何年かするとごくフツーの中年のおっさんになってしまった。
そうでなくとも特別な鍛え方をしてきたわけではないのだから、自分と同年代の人の平均的な体力と比べて、どれほどの差があっただろうか…。
まぁ、若い頃は引き締まった体つきだったし、力も、特に足腰の強さでは人並み以上だったとは思うけれど。。
あまり運動をしなくなってからは、人間関係のイライラから胃の調子が悪くなることが増え、さらにビールや酒ばかり飲んでいたためか、体重が少しずつ増えて来た。
その癖、夏にはバテバテになり、一時は、
“夏の主食はざるそばとコーンフレーク”
なんて有様にもなった。
これではいかん!
…と思い、太極拳だけでも再開することにしたわけだ。

で、一気に端折るが、それから数年後、T先生と再会して、今に至っている。
(※そのT先生とも去年、決別してしまったけれど…)
最初は、健康のためにということと、出来れば、昔、中途半端になってしまった拳法の続きを、武術の雰囲気を味わう程度にでもいいからもう一度やりたいという思いだった。

T先生と再会することになったとき、事前に電話で話したが、その際、先生たちの最初の師匠であるW先生が今でもご存命であると聞いて驚いた。
そのときですでに百歳近くになっておられるのに、今でも太極拳をやってらっしゃるという。
「やっぱり太極拳って体にいいんだなぁ…」
と、単純に思った。
もちろん、太極拳だけが長寿の要因とは限らないのだけれども。
そして武術全般、体にいいとは言われているのだが、要は体を鍛え続けるということが大事なのだろう。
W先生の場合、若い頃から激しく鍛えておられて、これも前にも書いたが、70歳を過ぎた頃でさえ若者に劣らない動きだった。
そうやって体力を維持して来られたからこそ、今でもそれほどお元気なのだろう。
比べればまだまだ若い僕が、今から老人の健康体操程度に太極拳をやろうなどと思っていてはいけないわけで、
『昔やりかけていた外功鍛錬も、改めて教えてもらわなくてはなぁ…』
などと、同時に思った。
それから、T先生は、
「昔のアフターフォローの意味も含めて、太極拳くらいは使えるようにしてあげるよ」
と言ってくれた。
今さらどこまでやれるのか?…という不安もあったが、とても嬉しかった。
そして天王寺で再会。
冬、12月の初~中旬頃だったと思う。
待ち合わせ場所に現れたときのT先生の印象は、
「あれ? 先生ってこんなに小さかったっけ?」
と、記憶よりも身長が低く感じられた。
昔は少々太めだったのが、心持ちスッキリしていたせいもあるだろう。
そのとき、力の必要性について話すと、
「あれからずっとしんどいこと(筋トレ)をやってるよ。おかげで僕もずいぶん体が変わってしまった」
と言っていたが、そう言われても上着を着たままなのでわからなかった。

また、T先生と再会する、たぶん半年くらい前だったと思うが、たまたまネットで見つけた同門らしき人のHPがあった。
「もしやS先生のお弟子さんでは?」
と思ってHPに書かれてあることを読んでみたら、その人は、
「しんどい稽古のせいで、70キロ台だった体重が今では100キロを超えてしまった」
というようなことを書いていた。
「そんなすごい稽古は昔してなかったなぁ…」
と思っていたのだが、結果(もっと後になって判ったが)、やはりその人はS先生のお弟子さんだった。

ともかくそれから、T先生とまた一緒に稽古をすることになった。
T先生は学校の教員をしているので、平日に自由が利く僕は、放課後にお邪魔して教えてもらうことにした。
年が明けて、早速その年の1月から初稽古。
先生が勤務する学校の、やや狭い講堂を、2人で貸し切り状態だ。
「体が変わってしまった」
というT先生の言だが、Tシャツ姿を見て、なるほどと思った。
腕が筋肉質になっていて、前腕が太く、肩などはとんでもなく発達していた。
まーお腹だけは相変わらず出ていたけれど、背中の筋肉も発達していて、後ろ姿は筋肉隆々な逆三角形だった。

初稽古から1ヶ月ほど経った頃だったか、件の外功鍛錬を始めることになった。
「長いブランクのある自分が、いきなりきつい筋トレについていけるのだろうか?」
と内心不安だったが、まぁ、その日は(後になって思えばずいぶん)軽めにしてもらえた。
確か、腕の筋トレ、鍛える部位別に2~3種類の動作、そして同様に足…というようなメニューだった。
普段はあまり使わない箇所の、武術に必要な筋肉を、お互いに負荷をかけ合って鍛えるのだが、たぶん、それぞれを数十回程度ずつやっただけだったと思う。
内容的にも当然、初歩の鍛え方だ。
(※鍛錬の内容については、これ以上の詳しいことは書けないが…)
だが、大した運動をしなくなって久しい上に、年齢も上がってしまって、こんな筋トレをいきなりやるのはきつい。
しかも、多少は加減してくれているとは言え、T先生との力の差があり過ぎる。
僕はすぐに息が上がってヘトヘトになった。
帰りにT先生と一緒に寄った飲み屋で、
「このあともっときついやり方になるし、回数も増やすよ」
と言われて、気が遠くなる思いだった。
「まーそれはそれで楽しみです」
という風に受け答えしていたが、ビールのコップを持つ手がトレーニングの疲れでぷるぷる状態だった。

…けれど、まだまだあまかった。

次の日は足腰が立たないほどの筋肉痛になった。
中高年に差しかかって、これほどの筋肉痛を経験することになるとは。。
大した数もこなしていないのに…。
その痛みたるや、眠っているときに寝返りを打っても痛みで目が覚めるほどだった。
(疲れで寝付きはいいのだが…)
そして、次の日も、その次の日も、まだ筋肉痛。。
くっそー、やっぱ歳取って回復遅くなってるのかなぁ…。。
と、アンメルツや湿布を買ってきて使っても、一週間以上筋肉痛が引かなかった。

T先生との稽古は、基本「月3回を目安に」という約束だった。
なので都合によっては2週空くこともあったが、最初の頃は、2週空いても稽古日にはまだ前回の筋肉痛が残っていたりした。
そして何ヶ月か経っても、稽古後数日は、例えれば激しい暴行を受けたような痛みが続いた。
それでも、稽古から次の稽古までの間に何もしていないと、当日の鍛錬がきつくなるから、自分でも少しは筋トレをやっておく。
そして、鍛錬のメニューが変わり、回数が増えたりもするので、なかなか慣れるということが無い。
自宅で仕事をしているのが幸いだったが、時には寝起きやトイレにも困る有様。。
その鍛錬を始めてから4~5年くらいは、筋肉痛がまったく無い日などは無かったくらいで、アンメルツや湿布も手放せなかった。

…しかし。。

そんな鍛錬をやっても、なかなか力は劇的に強くはならない。
もちろん、体が変わってくる実感はある。
気づかない内に前より力が強くなっていたりはする…のだが、それでも短期間にとんでもなく強くなったりはしない。
これはこれで、やはり積み重ねが物を言う鍛錬なのだ。

変化としては、半年もするかしないかで、胸や背中などの、今まで動かなかったところの筋肉が動くようになったりする。
特に背中の筋肉は、ミット打ちをするときのパンチの向上を実感できるようになる。
体の内部的にも、
「これこそが本当の“勁道”というヤツじゃないのか!?」
と、繋がる感覚が何となく解ってくる。
もちろんそれも程度の問題で、半年、1年、あるいは2~3年で感じられるそういう感覚と、もっと熟練してから感じられるものとは、また違ってくると思うが。。
そして、
今まで他派の人とこういう話をちょっとでもすると、大抵誤解されたのだが、少なくともここで言う筋肉を鍛えるということは、筋肉に頼るということではないのだ。
しかし一方、
「力で済むところを力でやって何が悪い?」
という理屈も成り立つ。
また、これも前にも書いたが、
『力があってこそ、力を使わないような力の使い方が出来る』
--のだと思っている。
その辺のことも熟考してもらいたいところだ。

さて、次回になるかどうかは未定だが、拳法の修行に役立ちそうな筋トレの基礎や、栄養摂取についてなど、また書こうと思っている。

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