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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

兄弟弟子たちの本音

投稿日:2012年10月24日

前項の続き。

T先生のところに復帰して間もなく、僕は兄弟弟子たちに連絡を取った。
みんなは、音沙汰が無かった僕からの電話に驚きつつも、以前と変わらず、親しく応じてくれた。
何故、やめたのか?
ひとまず電話で尋ねると、皆口々に、T先生に原因があるとのことだった。
僕は驚いて、ワケがわからず、ともかく一度、僕の部屋に集まって話をしないかと持ちかけた。
たぶん先にK阪さんやK池くんと連絡がついて、日曜だったか平日だったかは忘れたが、夜7時か8時頃に集まることになった。
Tくんにも連絡はついたが、その日は来られないから別の日に、ということになった。

当日、K池くんが先に来ていて、K阪さんは都合で遅れて来るとのことだった。
記憶の限りでだが、確かK池くんと2人で、以前書いた“T宮”と情報交換したときの話をして、その後に僕が気づいたことなどを説明した。
当時僕が気づいたことの一つは、腰から先を波のように動かして力を伝える方法だった。
ただ、それでは重い打撃にならないのだが、工夫により瞬発的な力にできそうだと、何だかちょっと気づいた気で得意になっていた。
そんなことを話している内、K阪さんが来る時間になったので、駅まで迎えに行った。

K阪さんが来てからは、あれからどんなことを習ったかを少し聞いたりした。
そしてまた僕は、自分で気づいたことなどを話した。
K池くんは僕の話にあまり興味を示さなかったが、K阪さんも同様だった。
「そんなものは小手先のことに過ぎない」
…という程度に捉えたのかも知れない。
僕は内心ちょっとがっかりしつつ、話題をT先生のことに移した。

K阪さんは相変わらず筋道を説く雄弁な口調で、T先生に対する非難を口にし始めた。
K池くんは、どちらかと言えばあまりしゃべらない方なので、横でうなずきながら聞いているといった感じ。
このとき聞いたことすべてを憶えているわけではないので、大体を要約する。

1.流派・団体としての内容が定まらず、秘密も多く、指導内容も二転三転。
2.その中でもT先生は特にシブチンで、あまり教えてくれない。
3.T先生は結婚後、奥さんとイチャイチャしていて稽古が疎かになった。
4.稽古日には尊大な態度で指図だけして、まともに指導してくれないことが増えた。
5.特に自分(K阪さん)に対する風当たりがきつくて、ひどい。
6.型は上手いが、強いとは思えず、底が見えてきた。

--と、こんな感じだったと思う。。

ウチの流派は、X先生が自分の団体を立ち上げるということになってから、S先生以下それに従って来たのだが、僕が以前居たときから決める決めると言っていた段級制度さえ未だに決まっていないのだと言う。
練習内容も、後になって思えばたぶんX先生の気紛れが起因しているのだろうけど、やることがバラバラに思えて、ついて行けない気になっていったようだ。
しかもそんな中で、自分たちの師匠であるT先生が、就職後間も無く結婚したのだが、新婚の奥さんとイチャイチャしてるわ、偉そうな態度だけ取ってまともに教えてくれないわ、で、腹が立って来たのだという。。
そしてまた、T先生はK阪さんを技を試す相手にすることが多かったのだが、もう少し手加減できるだろうと思うようなきつめの当て方をすることがままあって、僕らもそれはちょっとひどいと感じていた。
用法説明をするときなども、K阪さんは約束通りに突いて、いつも痛い目に遭う。
僕らは最初、技を受けることが多いK阪さんを羨ましく思っていたのだが、K阪さん自身が段々嫌な気持ちになってきていることを察するにつれ、T先生のK阪さんに対する風当たりの強さを疑問視するようになった。
おそらく、以前から空手をやっていて歳も変わらず自己主張が強いK阪さんに対して、快く思わないところと、どこか対抗意識のようなものもあったのではないかという気がする。
実際、K阪さん以外の者が技を受けるときは、僕も含めて、明らかに大幅に手加減してくれているのが判るのだ。
まー、K阪さんは、心持ち本気で突いていくこともあったし、体も頑丈そうだったから、T先生がK阪さんにイラッとして、試す意味も含めてきつめに当てたりする、といった感じなのだが、しかしT先生は上の立場でK阪さんは従う立場。
一種のパワハラではないか。
人はオモチャではない。
そして、そんな中、K阪さんはK阪さんで、T先生を観察する。
色んなことを試され、それを受けながら、ちょっとした動きの中で、
「この人、実際には弱いんじゃないか?」
と思うようになったのだろう。
いや、正直、以前居たときから、本音を言えば僕だって、本気で喧嘩すればK阪さんの方が強いんじゃないかと思っていた。
K阪さんは常識的にT先生をきちんと立てて気を遣っていたし、武道に関する意見は述べても逆らうような態度を取ることなど無かったが、3年4年経つ頃には多少の反感を持つようになっていたと思う。
T先生から指導されたことを、そのときは言われるままに稽古するが、あとで僕らに、
「こんなん実際にできると思う?」
などと口に出すこともあった。
しかしそれは、後になってみれば当然の疑問だった。
そして、技に対する疑問と、T先生への反感は、多少リンクする部分はあるにせよ、大部分はT先生の人としての姿勢や態度に問題があっての反発なのである。

そんな折、たぶん道場以外で一緒に稽古していたときだったと思うが、K阪さんがキックミットを持って来ていたときがあって、
「hideくん、こんなん持ってみたことある?」
と出してきた。
僕は、
「いやー無いです。どう持つんですか?」
と、持ち方を教えてもらって、K阪さんのキックを受けた。
すると、ズバーンと重たい威力で、吹き飛ばされそうなほどの勢いだった。
ハイキックも大した威力だ。
少なくともそのときの僕は、K阪さんの本当の実力を知った気がして衝撃を受けた。
他にもパンチや肘を受けたと思うが、当時腕の力が無かった僕は、そのあとしばらく腕がしびれたままだった。
考えてみればT先生もK阪さんも僕も、武道のキャリアはあまり変わらないのだ。
僕はまだ甘ちゃんな考えしか無く、稽古に対してもごっこノリな部分があったが、真剣に自分の武道を追求しようとしていたK阪さんからすれば、秘密だらけだったり、教えることが二転三転したり、気づいたら何年も振り回されているような状況で、しかも師匠はキャリアも歳も大して変わらないのに自分をあまりにも軽んじている、となると、腹立たしく思うのは当然だったろう。
(ちなみにこれは僕も、後に自分のこととなって降りかかってくることなのだ…)
…だが、、
僕はK阪さんから聞いたことを、そのときはあまり重く受け止められずに、
「一度先生と腹を割って話してみたらどうですか? またみんなで一緒に練習しましょうよ?」
などと持ちかけたりした。
K阪さんはハァーッと溜息をつく。
「hideくん、悪いけどな、僕らはもうそんな時期やないねん。hideくんはT先生のこと好きか知らんけどな、僕らは嫌いやねん。まだ習ってないことがあって、いつか凄いことを習えるとしても、あの人にはもう習いたないねん。hideくんが僕らに対する友誼を持ち続けてくれていて一緒に稽古しよ言うてくれるんは嬉しいし、それで一緒にやるんは構へんと思ってるんやけど、T先生のところへは僕は絶対に戻らへん!」
大体こんな言い方だったと思う。
僕はそれでも、まだ今一つ理解できずにいた。
大人しいK池くんなら、もう少し違う反応かも知れないとK池くんにも尋ねる。
「僕もK阪さんと同じ思いです」
K池くんまでが何故?
まー、教えてくれないとか、奥さんとのイチャイチャ云々は解るけど、K池くんはきつく当たられたわけでもないだろうに…?
けれどとにかく。
K池くんもT先生のことを固く拒んでいて、戻る気はさらさら無いのだった。
K阪さんはさらに言う。
「hideくん、勘違いせんとって欲しいんやけどな。僕らは仲良く楽しく練習したいのと違うねん。もちろん仲間として仲良くはありたいし、しんどい稽古も楽しいに越したことは無いんやけど、真剣に求めていることがあるわけやから、それに対する根本的な態度が真摯でないのは嫌なんや」
T先生はその意味でも、もう師匠として認められないということなのだろう…。
僕にはもう何も言えない…。
そしてその日は、また連絡し合おうということでお開きとなった。

その後、一番弟子だったTくんと会うまでに、一度くらいはT先生のところに稽古に行ったと思う。
僕は事前に、
「みんなに連絡して会ってみようと思っています」
ということは告げてあったが、T先生は、
「よろしく言っといて。よかったらまた会いたいってことも伝えといて」
などと言っていた。
ご本人、どうやら悪気は無いのだ。
弟子たちにそんな風に思われていることなど、解らないでいるらしい。。
お節介な僕は、親切心で話してやろうかともちょっとくらいは思ったのだが、さすがに僕自身も衝撃を受けた事実だったので、言うのは憚られた。

それからTくんに会った。
ミナミで待ち合わせて、御堂筋から道頓堀筋に少し入ったあたりにあった古い喫茶店に入ったのを憶えている。
(今はもうとっくに無くなってしまっている店…)
僕はこの期に及んでも、Tくんなら戻って来てくれるんじゃないかと、まだかすかな期待を持っていた。
TくんはT先生から一番弟子として別格扱いを受けていたし、厚遇され可愛がられていたはずだったからだ。
しかしいきなり切り出すのも何となくまずい気がして、まずは他の話題から入った。
「そういえば、K阪さんやK池くんにも少し尋ねたりしたんだけど、あれからどんなことを習ったの?」
「いやー、hideさんが前に居た頃から、そんなに進んでませんよ。金鷹拳の型が少し進んで、止まってしまいましたし、あと型に無い技を2つ…」
「ほう?」
「○○抱○と○○○鏡という技です」
「というと、形意拳の閃電手みたいな?」
「まーそんなんちゃいますか…」
「太極拳の技なの?」
「いや…どうなんでしょうね…」
このときTくんがこの技を何の技と理解していたのかは、確かめていないので判らない。
「ちょっと手振りくらい見せてよ?(笑)」
「いや、ここではちょっと…」
「そっかー。ところでTくん、S先生のところにも行ってたんだって?」
「ええ、まぁ」
「確かT先生の話では、就職活動や就職してからのことなどで忙しくなって、S先生に預かってもらうかたちになったんだとか?」
「え? あいつ、そんなこと言うてたんですか?」
と、苦笑い。
温厚でいつも笑みをたたえているTくんが、師匠をあいつ呼ばわり。
K阪さんに劣らず、何か腹に含むところがあるようだった。
「S先生のところは、何でやめたの?」
「うーん。まぁ、色々…。でももう、居てもこれ以上習うことも無いかなと思いましたしね…」
「そう思えるほど、すでに習ったことが納得できたってこと?」
「…そういうわけでもないですけどね」
ずっと後になってからの僕の解釈では、たぶん、少なくとも内家拳を始めとする拳法の技の使い方は一通り教わったわけだし、そこに鍛錬法が加わってきて、自分なりに武術への理解も深まったし、あとは自分で研鑽していけばいいと思ったのではないだろうか…。
ただ、習っていないことはまだあるわけだし、それに対する興味や探求心はどうだったのだろう…?
「S先生のところはどうだったん? あっちはお弟子さんが今でも多いんだよね?」
「そうですね。何人かは居てはりますよ」
「他のお弟子さんと反りが合わんかったとか?」
「そういうわけでもないです。それにS先生はよくしてくれましたし、S先生にはお世話になったと思ってます」
「ふぅん…」
「でも、居続けたって、特に習うことなんて、もう無いでしょ」
「…そういうもんかな」
「まー僕はそう思いましたのでね」
「……………」
S先生のところをやめた理由は今もよくわからない。
あとで僕が思ったのは、最初から最後まで残っていたにも関わらずT先生のところから放り出されて、ひとまずS先生のところでお世話になってはみたものの、大体のことは解った気になって、本当に言葉通り、これ以上習っていても目新しいことなどもう無いと思ったのかも知れない。。
「ところでTくん、ボクシングのジムでスパーリングやったんだって?」
「それもT(先生)から聞いたんですか?(笑)」
「まぁね。いいセンいって自信をつけたらしいって話だったけど?」
「そんな大したことじゃなかったですけどね…」
ともかくTくんは、K阪さんほどはっきり物を言う人では無いので、よくわからない、ぼやかせた言い方が目立つ。
ところがT先生の話になると、違った。
僕がK阪さんやK池くん同様、戻ってこないかと切り出した途端、
「やっぱりそういう話でしたか。こればっかりはナンボhideさんの誘いでも僕はお断りします」
と、きっぱり。
「でもTくん、一番弟子やったし、先生からは可愛がられてたんと違うの?」
「そんなん別に変わりませんよ。それよかあいつは人として最低なんです。あんなヤツのところには戻りませんよ。絶対嫌ですよ!」
T先生とは親(ちか)しいと思っていたTくんまでもがこうだ。
僕は何か一つ二つ言葉を足したが、Tくんは頑なになってしまうばかりだった。
何があったのか、ということに対しては、自分の弟子を人に委せて放り出したということと、K阪さんたちから聞いたことを話すとそれに同意していただけで、それ以外の理由は詳しくわからなかった。
「じゃあ、僕ら(K阪さんやK池くん)と、個人的に稽古を続けるのはどう?」
「それは歓迎です。と言うか、hideさん音沙汰無かった間どうしてたんですか? 今度はちゃんと連絡下さいよ?(笑)」
「うん。悪かった。今度は連絡するよ」
--と、Tくんとは、そんな感じで別れた。

結局、このあと、僕は水商売を上がったことで金銭的に窮してしまい、月謝を払うのもきつい状態になっていき、T先生にもまた暇乞いをして人生を迷走し始める。
そして、その間に兄弟弟子たちの連絡先がわからなくなってしまうのだけど…。

…今回、すでにだいぶ長くなってしまっているのだが、もう少し続ける。

Tくんの言葉は、K阪さん以上にショックだった。
一番弟子として最も可愛がられていたはずのTくんが、師匠をまさかそこまで嫌っているとは思わなかったからだ。
みんながT先生を嫌う理由について、聞いてみれば「まーそうかな…」くらいには思えても、そこまで嫌うほどのこととは、僕だけが実感を持てなかった。
あとでT先生に、みんなと会ってきたと報告したが、
「戻って来て一緒に練習しないかと誘ってみたんですけど、みんなそれぞれの思いがあって、戻ってくる気は無いみたいです」
というくらいにしか言わなかった。
T先生は、「ふーん、そう…」と返事した程度で、深くは聞いて来なかった。
何かを察しているというより、答えがそうならそれ以上興味は無いといった風だった。

ただ、T先生は、最初こそ歓迎ムードで迎えてくれたが、態度にはムラがあった。
それと前ほどマメに稽古していない感じなのは、僕も見て取れる気がした。
T中くんが休み始め、2人で稽古するときなど、定位置で金鷹拳の受けを練習していたら、僕が受けて弾いた腕を痛そうにしていて、
「hideくんは痛ないの?」
と聞いたりする。
立ち方や動きにも、多少アラが見える気がした。
でもこのときの僕は、T先生を批評できるほど自分自身が大したことも無かったし、武術のこともそれほど解っているわけでもなかったので、自分も少しは上達したのかと喜ぶ程度のことでしか無かった。

やがてT中くんが長期間来られないとのことで、完全に2人だけになった。
しばらく居なくなっていて戻って来た僕から見て、T先生は、ちょっとエラそうな感じが増しているように思えた。
兄弟弟子のみんなが言うことも少しは解る気がする。
考えてみれば僕が入門した当時、T先生は22歳だったわけだが、当時からちょっとしたその道の大家のような態度だった。
きっと上の先生がそうしているであろう態度そのままに、僕らの上に乗っかっていた。
ただそれでも、学生の内のT先生はまだ優しかったと思う。

ある稽古の日のこと。
夕方、約束の時間に行くと、T先生はまだ仕事から戻っていなかった。
お母さんが、連絡を受けているとのことで、
「もうすぐ戻ってくると思うから待っていて」
とT先生の部屋に通してくれた。
いつも着替えさせてもらっている部屋だったが、他人の部屋、まして師匠の部屋に、1人で居るのは居心地が悪い。
うかつに動けなくて、僕は部屋のほぼ中央で、正座して待った。
それまでは、待たされることがあっても10分20分の範囲だったが、この日は30分経ってもT先生が帰ってくる気配が無い。
そのうち日が落ちて周りが暗くなってきた。
するとお母さんが部屋を覗きに来て、
「もう帰ってくると思うんやけどねぇ。あ、足崩しはったら? それと電気点けてね」
と言って下さった。
実は足は限界だったので、ありがとうございます、ではお言葉に甘えて、と、足は崩させてもらったが、電気のスイッチがどこなのかわからない。
まぁ、普通はドアのそばにあるのだろうが、勝手に部屋を歩き回るのは気が引けたし、もう戻ってくるだろうと思っていたので、そのまま待つことにした。
するとまた10分ほどして、お母さん。
「電気点けはったらええのに…」
と、部屋の前でぼそっと言うようにして奥に戻る。
すでに外は真っ暗だ。
そしてまた10分ほどして部屋を覗くと、お母さんはドアのそばの壁を手のひらでパンパンと軽く叩いて、
「ここにスイッチありますから。よかったら点けてね」
と言ってまた奥に引っ込んでしまった。
僕は内心、そんなことするなら点けてくれればいいのに、と思った。
今の僕なら、お母さんが最初に電気のことを言ってくれたときに、
「電気のスイッチはどこにありますか? じゃあ遠慮無く点けさせていただきますね」
などと言えるだろうし、もしくは自分から奥に声をかけて承諾を得るなどもするだろうけど、このときの僕は、まさかそんなに待たされるとは思わないうちに真っ暗になってしまい、師匠の部屋で遠慮し過ぎて身動きが取れなくなってしまっていたのだ。
結局、一時間以上待ったろうか。
ようやくT先生が帰って来て、玄関近くのその部屋を一度素通りして奥に行き、戻ってきて、電気のスイッチを押し、
「何で電気点けへんの。ウチの者がみんな気味悪がってたやんか!」
と、むっとした口調で僕を叱りつけた。
「…すいません」
しかし常識的に考えて、お母さんも、最初に部屋に通してくれたときのことはいいとしても、すでに外が暗くなり始める時間だったわけだし、その後も僕が遠慮していることくらいは見て判っただろう。
何で家の者として電気を点けてくれなかったんだろう?
そしてT先生も、遅れて待たせたことを謝るよりも、家族が気味悪がってるって…。
幾ら自分が上の立場だからと言っても、他人に対する配慮としては足りないんじゃないだろうか…?
…と、僕は内心不快に思った。
みんなの気持ちが少し解る気になった。

あとは、もっと小さいことで、よく憶えてはいないが、似たような思いをすることが何度かあって、T先生のご自宅に1人で行って習うのが億劫になっていった。
もちろんその後お暇したのは、こういったことが原因ではなくて、自分の生活のことや人生上の紆余曲折などで、それらの全責任は自分にある。
だから、T先生のことは、この時点ではまだ嫌ってまではいなかった。
「なるほど、みんなの言うことも少しは解る」
--という程度の思いだった。

ただ、せっかくやり直そうと思った武術をまた投げ出してしまい、それまでも、その後も、1人での稽古は細々とでも続けていたものの、
「オレは結局、大した腕前にはなれそうも無いな…」
とあきらめ気分になった。

そしてそんな折、ちょっと自棄になっていて、二度ほど殴り合いの喧嘩をした。
1人は年上の空手経験者(初段以下)、もう1人は同年代の少林寺拳法二段という男だった。。

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