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太極拳ってど〜よ!?

徒然エッセイ

20代前半の喧嘩 Part2

投稿日:2009年7月28日

北新地には20代半ばまで居たのだが、その間にも一度、夜の世界を抜けたことがある。
たぶん、最初の店から叔父の店に移ったが、その店がすでに傾いていて、一応閉店までつき合い、そのせいでさらにお金に困ることになってしまった、その後だ。。
夜の水商売以外でそのとき自分がすぐにできそうな仕事と言えば、調理だった。
その調理も中途半端だし、一からやるには遅いと言われてしまう歳だったが、たまたま見つけた店で雇ってもらうことできた。

梅田のちょっとへんぴなところにある店で、ファミレスとカフェバーが合わさったような感じのレストランと、お好み焼き屋が隣り合っていて、その2店舗を経営していた。
奥にある厨房は両店に繋がっている作りだった。

ここでは、チーフコックを始め先輩コックたちに可愛がられて、働いている間には、後から入ってきた10代の男の子ら2人からも慕われた。
ちなみにその内の1人は、ハーフっぽい華奢なイケメンで、当時は気の弱い男の子で、一度先輩コックを怒らせて包丁で腕を切られたことがある。
そのとき居合わせていて、慌てて止めに入り、先輩コックをなだめた。
なだめたと言っても、怒鳴り合うようなかたちでとにかく包丁を置かせた。
傷害事件になるようなことだが、仕込みをしていて包丁を持っているときだったから、激高して包丁を持ったまま手振りしてしまったらしい。
切ろうと思って切りつけたわけではなかったし、男の子の腕は軽傷で、厳しい世界だから、店長やチーフの裁量でお互いが謝るかたちでうやむやになった。

そして、それから10年ほど経って、ミナミでばったりその男の子と会ったのだが、ナント、ホストになっていた。
5~6人のホストを引き連れて先頭を歩いていて、僕に気づくと、
「hideさん、hideさん!」
と寄ってきた。
僕が相手のことを判らずにいたら、
「オレです、オレです! 〇〇です!」
と、親しげに繰り返し、働いていた店の名前を出した。
それで顔をよく見て「あーっ!」と思い出したのだが、僕が忘れていたのに、ちゃんと僕の顔も名前も憶えていて声をかけてくれて、嬉しかった。
だから、親身な先輩として慕ってくれていたと思うのは、間違いではあるまい。

まーそんな風に、僕としては、忙しくも働きやすく、居心地が良かった。
調理場のチーフや先輩コックたちも、僕には怒らなかった。

…ただ。
火種が一つあった。

こういう、従業員が比較的多い店では、料理人とホール担当との仲が悪いことがある。
コックたちは気の荒い人が多いし、忙しいときは不快丸出しの顔で黙々と仕事をこなしている。
そういうとき、お調子者のホールの態度が疳にさわる、というのが日常だ。
オーダーの通し方が悪いとコックに怒鳴られ、険悪なムードになる。
だから、ホールもコックたちに気を遣い、顔色を窺いながら、ややこしい注文があると、恐る恐る、出来るかどうかを尋ねたりする。
僕は両方経験があるのでホールの大変さも解っているのだが、お気楽なヤツらが店に来る女性客を従業員同士で品定めして笑い合ったりしていて、テキパキ仕事をしていないときがあると、さすがにそれはちょっと腹が立つ。
それでも僕は、オーダーを険のある態度で受けたりしないので、ホールの従業員たちとは一番うまくやっていただろう。

でもその中で、どうしても反りの合わないヤツが一人だけ居た。
名前は忘れたが、仮に“K”としよう。

まー、相性で好き嫌いがあるのは誰でもそうだろうが、仕事であれば、嫌いでも最低限の言葉のやりとりくらいは、きちんとするのが普通だ。
なのに、Kは何故か僕に敵意むきだし。
歳は確か、ホール主任が僕と同い年か1つ下で、その後輩だったので、僕から見て1つか2つ下だったと思う。
ぶっきらぼうで、いかにもヤンキーあがりのような顔つきで、身長が180cm以上あった。
その厳つさで周りからも一目おかれ、コックたちも露骨に怒るのは遠慮するところがあった。
店長と先輩であるホール主任、そして親しい数人以外は、誰彼構わず横柄だったが、僕に対しては特にひどい。
(何が気に入らないんだろう?)
…と思いながら、最初は、こちらから近づく努力もしたのだが、だんだんむかっ腹が立つようになってきた。
他のコックたちとも摩擦があったが、僕には特に態度が露骨で、例えば、まともに声を出さずに伝票だけを置いていくときがあり、
「おい、ちゃんとオーダー通せよ!」
と注意しても聞かず、そういうことを繰り返す。
ふと気づくと、遠くからこちらを睨みつけていたり、忙しいときオーダーを整理しようとしてホールの者に確認のために声をかけると、そんなときに限って割って入り、変に揉めるような方向に持っていこうとしたりする。
最終的にはついに怒りが頂点に達して、店の奥でKを怒鳴りつけてしまった。

Kは当然、喧嘩腰で言い返してきたので、
「やるならやったるわ! かかって来いアホウ!」
と、胸の当たりをドンと押した。
この頃より少し前から使うようになった、僕の手だった。
触れられる距離であっさり触れさせるようなヤツは、大抵ぶん殴れる。
それに、相手に先に手を出させる目的があった。
目論見通り反射的に手を上げて来て、そこを僕も反射的に捌いてガツンと喰らわした。
あとは畳み込むように立て続けに殴った。
Kも必死に手を出そうとしたが、僕には当たらなかった。
結果、圧勝。

仲が良かった先輩コックの一人が、小躍りして、
「hide、ようやった! お前すごいなー!」
と寄ってきた。
他のコックたちも、半信半疑だった僕の強さを目の当たりにした感じになったのと、みんなが嫌っていたKを締めたことで、僕を讃えた。

あとで思えば社会人としては問題だったが、閉鎖的で上下関係が厳しい世界。
店長はチーフコックに頭が上がらず、チーフがKに落ち度があることを説明して、店からは特にお咎めを受けなかった。
…が、小一時間ほど経って、ホール主任が僕のところにやって来た。

僕は今まで溜まりに溜まっていたものを出して、せいせいしていた。
正直、人を殴ってこんなにすがすがしい気になったのは久しぶりだと思っていた。
もしこのままクビになっても構わない。
主任は改めて簡単に事情を聞いたあとで、
「hideさん、顔ぜんぜん腫れてませんね? 先に手を出したんですか?」
「いや、あいつも殴りかかって来たよ。オレが打たれなかっただけや」
「じゃあ、一方的に殴ったんですか?」
「一方的に…ちゅうか、お互い必死にやり合って、気がついたら殴られたのがあいつだけやったってことやろ」
「………わかりました」
主任は一旦席を立って、またしばらくして、Kを連れて戻って来た。
「hideさん、Kが気分悪い言うてますから、病院に連れて行ったってくれませんか」
Kは、僕に殴られる前までの厚顔な感じはまるでなく、腫れ上がった顔で下を向いて完全に情けない負け犬状態。
それを見ると、やり過ぎたかな…という気にもなった。
「病院と言っても…」
「もう探してあります。十三(じゅうそう)の〇〇病院ってとこが診察してくれるそうですから、今から行ってきて下さい」
そばで聞いていたチーフも、僕の顔を見て頷いた。

そして2人だけで、電車に乗って、病院へ。
道中、何度か話しかけると、Kは無言のまま首を縦に振ったり横に振ったりして答えていた。
「大丈夫か?」
お人好しの僕は、このときは本気で心配になっていた。
行った先は個人病院で、当然ながら診断は打撲。
診断書と、湿布や痛み止めなどをもらって、店に戻った。

そして翌日。

またホール主任が、気のせいかちょっと喜色を浮かべた顔で、
「hideさんにちょっとお客が訪ねてきていますので、お願いします」
と呼びに来た。
「?」
出てみると、ガタイのいい厳つい2人組が待っていた。
差し出された名刺を見ると、韓国系の組織の肩書き。
あとで判ったが、店長やホール主任、そしてKなど、何人かが在日韓国人だった。

訪ねてきた2人は、最初に僕を見たときは、ちょっと驚いた顔をした。
「え? あんたが?」
僕が大男のKをボコボコにしたのが意外な様子だった。
その頃の僕は、身長175cmで体重は60kgくらいだ。
Kは僕より5cm以上高くて、肥満ではない程度に肉付きが良かったので、体重差は15kg以上はあっただろう。
話に入ると、最初はやんわりだが、僕が一方的に殴ったことを責めてきて、それに反論すると恫喝めいた口調も交えて、慰謝料を要求してきた。
僕は内心、
(こいつらも殴って店をやめてやろうか…?)
とも考えた。
しかし住所も知れているし、家からも出なければならなくなる。
ふと、ポーカーゲームの店に居た頃、在日韓国人と揉めて逃げたと噂になったチーフのことを思い出した。
(こんなことなら一発くらい殴られておくんだった…)
だが実際、わざと殴られるなんて、難しい。
せめて、自分も殴られたと言っておけば良かったのだが。。

2人は、僕が無傷で、一方的に殴ったことを責めてくるのだが、しかし、無抵抗な者を殴ったのではない。
そこは譲れない。
やられていたのは僕かも知れないのだ。
そして僕だったら、こんな要求はしない。
2人はイライラしながらも、話がまとまらなかったらメンツが立たないと臭わせるようなことを言い始めた。
つまり、金額は負けてやると言っているらしかった。
恫喝めいたことを言いつつも、僕と喧嘩になったら、それはそれで困るのだろう。
結局、10万円払うことになった。
Kに毎月5千円ずつ渡すことで折り合いがついた。
今なら、「それなら警察沙汰にしよう」という話にして、刑事罰として罰金払ってでも、Kには金を払わないだろう。
(実際、後にそういう経験もある…(^_^;))
だがこのときは、お人好しに自分の責任を感じてしまった面もあった。

そして、僕は店もやめることにした。
店長やホール主任がコリア系の力を駆使する手段を取ったことが判り、それが鬱陶しく思えたからだ。
僕自身は、在日韓国人に対して特別な差別意識は無い。
しかし大阪には在日韓国人が多い事情もあって、子供の頃からその組織力が取り沙汰されていて、例えば、在日が多く住む地域の者と喧嘩をすると集団で仕返しを喰らうという話が数多くあった。

まーともかく。
殴り合いには勝ったが、金を払わされることで、結果的には負けた格好になった。

Kには、金を払えるときに電話をして、どこかの駅で待ち合わせることになった。
僕の住まいの最寄り駅まで来てもらったこともあった。
ただ、Kは僕から金を受け取るとき、後ろめたそうな顔だった。
まぁ彼は彼で、僕のことをなめて、ツッパッて、怒らせたのに、喧嘩では負けて、組織に泣きついて金の問題にしたわけだ。
たかが10万円ぽっち。
男としては情けないことだろう。

とは言え…僕もド貧乏状態。。
3~4回払った後、連絡をしないでいたら、向こうからも連絡が無く、そのままうやむやになった。

この一件が、喧嘩については子供時代との境界線になった。

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